【YOUTHClip CINEMA GUIDE vol.35】今週の映画セレクション/『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』
毎週月曜日にお届けする連載企画【YOUTHClip CINEMA GUIDE】今週の映画セレクション。
本コーナーでは、現役大学生で構成されたYOUTHClip編集部員が、いま観てほしいおすすめ映画をセレクトし、紹介します。
今回取り上げるのは、10月2日から上映される『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』。限りある命と向き合いながら、愛する人と未来を描いた女性の実話をもとにした作品です。
目次
1.キャストスタッフ&ストーリー
2.21歳で向き合う「生きる」ということ
3. 愛する人と描いた、叶えたい未来
4. だからZ世代に届けたい

1.キャストスタッフ&ストーリー
キャスト:川口春奈 高杉真宙 デビット伊東 小林聡美 松本穂香 中島瑠菜
監督:山戸結希
脚本:樋口幸之助/山戸結希 藤野眞功
原作:遠藤和
配給:小学館
青森で暮らす遠藤和(川口春奈)と将一(高杉真宙)。
時にぶつかり、時に笑い合う日常の中で、
和の心には「一分一秒、一緒にいたい」「この人と生きていきたい」
という愛おしい未来への願いがふくらんでいた。
そんな矢先、和を襲ったステージⅣのがん。
残された時間は限られていた。
それでも将一は「一生大切にする」と彼女の手を強く握り続ける。
愛する人と過ごす日々が増えるほど、二人で叶えたい未来があった。
結婚したい。家族になりたい。
そして、私たちの子どもに会いたい――。
治療を止めるという命がけの選択の先に、出会えた新しい命。
余命は数週間。それでも和は「今が一番、幸せ」だった。
2.21歳で向き合う「生きる」ということ
2018年、青森。
当時21歳だった遠藤和さんに告げられたのは、「ステージIVの大腸がん」というあまりにも過酷な現実でした。
21歳といえば、大学生活を送ったり、友達と遊んだり、恋人と未来を語ったり。これから先の人生を当たり前のように思い描く時期でもあります。
そんな人生の途中で、突然「残された時間」を意識せざるを得なくなった和さん。夫・将一さんとともに病気と向き合いながら、二人は限られた時間を懸命に生きていきます。
その姿は、テレビ番組「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」でも取り上げられ、多くの人の心を動かしました。
さらに、和さんが生と死を見つめ、亡くなる10日前まで愛を込めて書き続けた日記は、後に『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』として書籍化されました。本作は、そんな和さんが残した言葉と人生をもとに描かれた、実話の映画化です。
スクリーンに映し出されるのは、「病気と闘った女性」という一面だけではありません。一人の人を愛し、愛され、笑ったり、悩んだりしながら、限られた時間を精一杯生きた女性の姿です。
だからこそ、観る私たち自身にとっても、「生きるとはどういうことなのか」という問いを投げかけてくれる作品になっています。
3.愛する人と描いた、叶えたい未来
和さんと将一さんが願ったのは、決して特別な未来ではありませんでした。
好きな人と一緒にいたい。
結婚したい。
家族になりたい。
そして、二人の子どもに会いたい。
誰もが一度は思い描くような、何気ない未来です。
しかし、病気によって、その「当たり前」が当たり前ではなくなってしまいます。
それでも二人は、残された時間の中で未来を諦めませんでした。
本作で川口春奈さんが演じるのは、そんな和さんの強さだけではなく、不安や葛藤、愛する人への思いを抱えながら生きる姿です。
そして、高杉真宙さん演じる将一さんもまた、和さんのそばに寄り添い続けます。
「一生大切にする」という言葉の重みは、二人が過ごした時間を知るほどに強く感じられるのではないでしょうか。
病気という大きな壁を前にしても、二人が大切にしたのは「残された時間をどう過ごすか」ということでした。
だからこそ本作は、単なる闘病映画ではなく、一組の夫婦が最後まで愛し合い、未来を思い続けた物語として心に残る作品です。
4.だからZ世代へ届けたい
21歳という若さで、限られた時間と向き合うことになった和さん。
私たちZ世代にとって、21歳はまだまだ人生の途中です。大学に通い、友達と遊び、恋愛をして、将来について悩む。これから先にどんな未来が待っているのか、楽しみにしながら毎日を過ごしている人も多いのではないでしょうか。
だからこそ、和さんが願った「好きな人とずっと一緒にいたい」「家族になりたい」という未来は、決して遠いものではありません。むしろ、私たちが何気なく思い描いている未来と重なる部分が多いのではないでしょうか。
SNSを通して誰かの毎日を簡単に知ることができ、周りと自分を比べてしまうことも多い今。将来への不安や、「このままでいいのかな」と悩む瞬間もあります。
そんな私たちに、本作は「今をどう生きるか」という問いを投げかけてくれます。
いつか叶えたい未来を思い描くことも大切です。しかし、その未来のために、今ある時間を見落としてはいないでしょうか。
大切な人と笑えること、好きなことを楽しめること、何気ない一日を過ごせること。その一つひとつが、決して当たり前ではありません。
限りある時間の中で、最後まで愛する人との未来を願い続けた和さんの人生。
『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』は、私たちZ世代にとって、「これから」だけではなく「今」を大切にすることを教えてくれる作品なのかもしれません。
この秋、ぜひスクリーンで和さんの生きた時間に触れてみてください。
Tel:03-6712-5946
記事:川村柚月