【YOUTHClip CINEMA GUIDE vol.15】今週の映画セレクション/『夜明けのすべて』
毎週月曜日にお届けする連載企画【YOUTHClip CINEMA GUIDE】今週の映画セレクション。
本コーナーでは、現役大学生で構成されたYOUTHClip編集部員が、“今観てほしい”おすすめの映画をセレクトし、その魅力をご紹介します。
今回取り上げるのは、第48回日本アカデミー賞にて3部門で受賞され、さらに数々の映画祭でも受賞された『夜明けのすべて』。
原作は「そして、バトンは渡された」で2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの同名小説で、W主演を務めるのは、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村北斗さんと上白石萌音さんです。
目次
1.キャストスタッフ&ストーリー
2.2人の距離
3.夢を追いかける喜びと痛み
1.キャストスタッフ&ストーリー

主演:松村北斗 上白石萌音
渋川清彦 芋生悠 藤間爽子 久保田磨希 足立智充 りょう 光石研
監督:三宅唱
原作:瀬尾まいこ
脚本:和田清人 三宅唱
配給:アスミック・エース
©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会
◇ストーリー
月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さんはある日、同僚・山添くんのとある小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。だが、転職してきたばかりだというのに、やる気が無さそうに見えていた山添くんもまたパニック障害を抱えていて、様々なことをあきらめ、生きがいも気力も失っていたのだった。職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく二人。いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる。
2.2人の距離
本作で印象的なのは、二人の距離感です。分かりやすく支え合う関係というよりも、それぞれの状態を尊重しながら、無理のない関わり方を続けていきます。相手を完全に理解することはできなくても、「知ろうとすること」や「踏み込みすぎないこと」が、結果として心地よい関係につながっていきます。恋愛関係に発展していくわけではなく、あくまでそれぞれの距離感を保ったままの関係が続いていくのも本作の魅力です。
3.日常の中にある小さな変化
その過程が丁寧に描かれていて、見ていてどこか安心感があります。それでも、何も起きていないわけではなく、登場人物の気持ちや関係性は少しずつ変わっていきます。会話の間や何気ないやり取りの中に、その変化がにじんでいて、観ている側も自然とそれを受け取ることができます。はっきりとしたオチや結論が用意されていないからこそ、観終わった後にそれぞれの感じ方が残るのも、この作品の魅力のひとつだと思います。