2023.10.07
Crossing Borders with ART アート イベント展覧会 プロデューサー モノクロームアーティスト 下北沢 俳優 写真家 恵水流生 映像作家 桜井智
2023年9月28日から10月9日にかけて下北沢にて開催される「Crossing Borders with ART‐2023‐」に参加し、モノクロームアーティストの桜井智さんと、写真家・映像作家・俳優・プロデューサーと幅広く活動されている恵水流生さんに独占取材させていただきました。
沢山貴重なお話をしていただいているので、アートに興味がある方やイベントに興味がある方はぜひ読んでみてください!
『Crossing Borders with ART 2023』とは
先入観や物理的なボーダーをアートの力でこえるという意味を持つ体験型展覧会です。
参加アーティスト、パフォーマーは国内外から集まった計18名。ウクライナ、中国、ドイツなどの作家や、今勢いのある国内のアーティストが集結しました。絵画に加え、立体、映像、インスタレーション、歌舞伎、音楽など、様々な角度からテーマを掘り下げます。
■今回のイベントが決まった時の心境をお聞かせください。
最初は私の個展の話でした。ここのギャラリーのオーナーからお話をもらって、1から企画をするってなった時に、こんなに素敵な場所だから1人だけで作品を出すのも面白くないなって思いました。ちょっと変わったギャラリーだし、だったら色々な人を巻き込んだら面白いかなというところが実は始まりなんです。
私の周りには海外で活躍されている方も多かったので、じゃあ一緒にやろうよ!というところからこのメンバーになりました。
■今回出展された作品にはどのような想いが込められていますか?
私は白と黒というものがまず軸にあって、白と黒だけって思われがちですがその中には実は沢山グラデーションがあったり、実際に見ていただくと光と影のおかげで違った形、色に見えてくるんです。あとは凸凹がある作品なので、こんなに奥行があったんだ、とかこんなに飛び出しているんだ、とか実際に見ていただかないと分からないというところを大事にして私は作品を作っています。
■桜井さんご自身のことについてお聞かせください。
10代の頃から世の中に対する葛藤や苦悩があり、その苦悩をアートという形で表現することで心身のバランスを取られていたと伺いました。アートとともに生きてきた桜井さんにとってアートとはどのような存在ですか。
私にとってアートは排泄物です。自身の経験や感じていることって必ずしも綺麗な物だけでは無いんです。それらを作品を通してアウトプットしているので、排泄物なんです。中には人から見ればそれが美しい場合もあって、見た人がどう感じるか。それがアートだと思います。
■日々たくさんの悩みや苦悩を抱えながら生きている学生にアドバイスをお願い致します。
私は普段高校の非常勤講師もやっています。今の若い子達に対して思うことは、もっと何かをやりたい、挑戦したいという気持ちを身に着けてほしいなということです。色々な経験をしながら、まずはやってみること、挑戦してみることをもっと大事にしてほしいなと思います。失敗はもちろんあるし、間違えたと思うこともあるけれど、それを含めての経験なので恐れないでほしいです。そして私がひとつ言いたいのは、辛かったり、嫌なことは全然逃げたらいいということです。嫌なことを無理してやる必要は全くないです。これは間違いなく私の経験から言えることです。
■今回のイベント展覧会では世界各国のアーティスト、パフォーマーの方々が作品を出展されているとのことですが、その中のおひとりとして出展が決まった時の心境を教えてください。
めちゃめちゃ嬉しかったです。最初は30日のイベントの時だけパフォーマンスとして映像を出さないかとのことだったのですが、お話が進んでいくうちにアーティストとしてひとつの部屋をディレクションしてくれないかとなりまして、今回有難くお受けすることになりました。私が作家として作品を展示するのは今回が初めてでした。今までは映像作家として映画を作り、色々な作品を映画祭や劇場で出すことはあったのですが、アートという分野で作家として出るのは今回が初めてなので凄くワクワクしながら楽しく制作させていただきました。
■今回出展された作品にはどのような想いが込められていますか?
普段は映像作品が中心ですが、写真家としても活動しています。映像作家と写真家を両方やっていて思うことが、写真ってなんだろうなってところに結構想いを馳せるんですね。映画は1秒間に24枚の写真が連続して成り立っています。記録媒体としては映像はとても進化していて、映像で記録した中から一コマ取って写真にするということがよくあります。写真って瞬間を永遠に切り取れるものじゃないですか。それって現実にはないことだと思っています。現実は時間が連続していて過ぎ去ってしまうものですが、瞬間を永遠にできるって凄く面白いなと思いました。記録媒体としてだけではなく、もうひとつ超えた概念として面白いなというのは写真家の目線で感じています。さらにそこから映像作家としての目線を対比として展示したいなと考えました。最初は写真の作品として写真を撮って、その作品から感じたものやそこから見えるストーリーのようなものを展開して、写真という瞬間を解放させたら生まれる映画があるのではないかと実験的に作ってみたのが今回の作品です。
■写真とは日常の中の一瞬を切り取ったものですが、恵水さんご自身が切り取りたいと思う瞬間はどのような瞬間ですか?
写真に撮るべきものってなんだろうというのはずっと考えていて、例えば美しい風景を撮影した場合、私は美しいのは風景なのだと感じます。 また完璧にまでアートディレクションしたものを撮影すると私はそれを写真なの かと疑問に思うことがあります。 社会問題や戦場を撮るカメラマンがいて、兵士が撃たれる瞬間を写真に収めたとして、とても凄いなとは思いますが、私はそうはなれないなと思うんですね。落ちているものを拾ってどうだ凄いだろうと言う気にもなれないし、かといって 自分で手を加えたものを撮影して、ほらやっぱり凄いだろうというのも違う気が します。そもそも”真”を”写す”と書いて写真というので、”真”の部分というのが最も大切だと考えています。それはもちろん色々な解釈があると思うのですが、私の思う”真”とはその写真から感じる目に見えない部分だと思っていて、魂に近い部分というような、そんな写真を撮れたらいいなと思って日々活動しています。
■現代の若者はアートというものに触れる機会が少ないですが、その中でも本や音楽を通して豊かな感受性を持つ人が多くなっていると感じております。アートとはどこか未知の世界で、足を踏み入れにくいような印象を持つ若者が多いと思うのですが、アートの世界に足を踏み入れる最初の1歩を教えてください。
私は全てがアートだと思っています。例えばみんなが大好きなアニメ、ジブリ作品にも凄くアートを感じるんです。受け取る側がアートだと感じていなくても、作者はその作品にものすごく美的センスやアートの感性を組み込んでいます。アニメが好きな人がコミックマーケットに足を運ぶように、自分の好きなものを掘り下げていくとそこには美的感覚やアートが存在していると思っています。だから、自分の好きなものをとことん好きになってほしいです。その先にはアートはもちろん、何かを信じることとか、愛とか、そういう素敵なことが沢山広がっていると思うので、ぜひ自分の好きを掘り下げてみてほしいなと思います。
実際に「Crossing Borders with ART‐2023‐」に参加させていただき、アートというものを全身で体感することができました。下北沢という趣のある街と、今回展示されていた個性溢れるアート作品は非常に相性がよく、建物や周りの空気までもアートに感じられるような素敵な空間でした。デジタルが進化し、映画館からサブスクリプションに人々は流れ、美術館でさえも足を運ばずに鑑賞できる技術が誕生しています。より多くの人が気軽に作品を楽しめるツールとして、これらの発展はとても素晴らしいものであると認識しています。ですが、やはり実際に映画館や美術館に足を運んで、画面を通さずに作品を見ることの価値というものは変わらずにあると思っています。映画館に足を運んだ時の空はどんな色をしていたのか、どんな人とすれ違ったのか、帰り道に何を考えて歩いたのか、これらも全て含めてその作品を観た時の記憶として残ると筆者は考えております。そして今回、繊細なデザインや横から見ないと気が付けない凹凸が施された桜井さんの作品を見て、実際に足を運んで直接見る価値というものは映画館と同様、美術館や展覧会にもあると感じました。そして恵水さんがおっしゃっていたように、アートに対して壁を作るのではなく、身近な好きを掘り下げた先にある美的感覚に触れてみましょう!「Crossing Borders with ART‐2023‐」は10月9日まで開催しておりますので、ぜひ足を運んでみてください!
「Crossing Borders with ART‐2023‐」
◾️一般公開
9月29日(金)、10月1日(日)、10月3日(火) 〜 10月9日(月) 12:00 – 20:00
※入場無料
■会場
DDD ART
■住所
〒155-0032 東京都世⽥⾕区代沢4-41- 2,12 (苑、凪)
■アクセス
⼩⽥急線、 京王線「下北沢駅」徒歩12分
⽥園都市線「三軒茶屋駅」徒歩13分
渋⾕駅よりバス有
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写真家 – 俳優 – デザイナー | EMI RYUSEI OFFICIAL
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