近年ニュースやSNSで頻繁に耳にする”若者のディズニー離れ”
1983年に開園して以来、全世代から圧倒的な支持を集めるテーマパーク、東京ディズニーランド・ディズニーシー
”若者のディズニー離れ”は、そんな夢の国の若年層来場者の低下を表す言葉である。
今回は、「ディズニーの変化とZ世代の金銭事情」そして「Z世代の推しキャラクターの移行」に焦点を当て、”若者のディズニー離れ”の実態とリアルな声を調査した。
(引用:株式会社オリエンタルランド テーマパークデータ)
東京ディズニーリゾートは2022年5月19日より、”ディズニー・プレミアムアクセス”の導入を開始。
”ディズニー・プレミアムアクセス”とは、パークで過ごす 1 日を計画的に、より効率的に楽しむための選択肢を増やすため有料パスである。ひとつのアトラクション(パレード/ショー)につき1人1,500円~2,500円の有料パスを購入することで、短い待ち時間で優先的に体験できるというシステムだ。
時間をお金で買うという新しい選択肢に価値観の違いが大きく分かれており、限られたお金の中で生活する学生からは意見の食い違いからトラブルになったという声も上がっている。
加えて、東京ディズニーリゾートは、2023年10月1日以降の東京ディズニーランドおよび東京ディズニーシー入園分のパークチケットの変動価格帯を変更することを発表。1デーパスポートの最高額が、大人(18歳以上)は9,400円から10,900円へ1,500円増額、中人(中学生・高校生)は7,800円から9,000円へ1,200円増額に変わる、大幅な値上げが行われたのである。
(引用:リクルートの調査を基にしたタウンワークのグラフ)
高校生が月に稼ぐアルバイト代の平均は30,000円代が最多となり、次に20,000円代、40,000円代が続いている。
(引用:リクルートの調査を基にしたタウンワークのグラフ)
大学生が月に稼ぐアルバイト代の平均は50,000円代が最多だが、80,000円代、30,000円代も僅差で続いている。
高校生が30,000円代、大学生が50,000円代。これを平均的な月収とすると、パーク入場チケットの最高額10,900円(高校生は最高9000円)、そして”ディズニー・プレミアムアクセス”によってかかる1,500円~2,000円は非常に大きな出費だ。さらに交通費や食費、お土産代など、1日パークを満喫することを考えると20,000円~30,000円の出費が予想される。30,000円という金額は、高校生の平均月収とほぼ等しいことから、東京ディズニーリゾートは気軽に訪れることができない場所になったということが分かる。また、平均月収のバラつきも大きいことから、”ディズニー・プレミアムアクセス”のお金で時間を買うという新たな選択肢に意見が分かれることにも納得である。
2023年から2024年にかけてZ世代を中心に「ちいかわ」「おぱんちゅうさぎ」などのキャラクターが大流行。次々にコラボ商品が誕生し、全国でポップアップストアが開催されるなど、爆発的な人気を見せた。
またK‐POPアイドルのオタクをする推し活ではサンリオキャラクターの人気がさらに高まっている。トレカケースやうちわケース、名前入りキーホルダーなどあらゆる推し活アイテムにサンリオキャラクターグッズが活用され、サンリオピューロランドの来場者もZ世代を中心に増加傾向にある。
(引用:マーケティング・広報ラボpowered By マイナビ)
2022年に行われた好きなキャラクターランキングでは、ディズニーキャラクターが上位を占め、次にサンリオキャラクターが多くランクインした。
(引用:マーケティング・広報ラボpowered By マイナビ)
ところが2023年に行われた好きなキャラクターランキングでは従来の順位が一変。
2018年、2020年、2022年の調査で1位を取り続けていた「ダッフィー」が6位に下がり、ランキング初登場となる「ちいかわ」が2位と大きく差をつけ1位を獲得したのだ。同じく初登場の「おぱんちゅうさぎ」も4位を獲得。そして2.3位にはサンリオキャラクター「ポチャッコ」「シナモロール」が躍り出るなど、キャラクター界に大きな変化が起きた。
近年日本の物価高は著しく、安さが魅力の学食でも数十円から百円の値上げが実施されている。今回取り上げたディズニーリゾートに限らず、様々な施設、商品の値上げは、やむ負えずとも金銭的に余裕がない学生や若者を遠ざける状況になっていることが分かった。さらに「ちいかわ」や「おぱんちゅうさぎ」など新たな人気キャラクターの誕生や、オタクの中でサンリオキャラクターグッズの需要がより高まったことにより、ディズニーキャラクターへ集中していた支持率が分散されたことも”若者のディズニー離れ”と言われる原因のひとつだろう。
Tel:03-6712-5946
記事:根市涼花