2022.08.10
今世間から最も注目されているZ世代。多様性をより重視し、コロナ禍を通して起きた働き方・キャリアに関する考え方の変化により、自分で事業を起こそうと考える子、実際に起業する子が年々増えてきている。 今回そんな若者にフォーカスし、起業を考えるZ世代の子達の為になる企画を決行。実際に起業したZ世代の社長たちの経歴や事業、今後のビジョンなど、リアルな話をレポートし若い世代に届けて行く。
第2回となる今回のゲストは、アパレルブランド「LIVALIE」のブランドディレクター・Mao。
2022年2月より、LIVALIEブランドディレクターを務める傍ら、文化服装学院非常勤講師も務め、自身もインフルエンサーとして活動中の彼女。今回、彼女がどういった経緯でディレクターに就任し、自身が作り上げるアパレルブランド「LIVALIE」について、コンセプトや服作りへの思いなど、沢山お話を聞いてきました。
Maoです。現在、アパレルブランド「LIVALIE」のブランドディレクター兼アパレル事業部長を務めさせて頂いています。
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18歳の時にCAを目指して上京し、アパレルとは遠い外国語専門学校に通っていたのですが、就活の際、「やっぱり自分が好きだと思うことをしたい。」と思いま
した。小さい頃からファッションが好きだったこともあり、アパレル企業を中心に就職活動を行い、最終的にはMARKSTYLER株式会社から内定を頂き、入社させて頂きました。
入社当初はGYDA渋谷109店配属になり、1年後にGYDA渋谷109店の店長とGYDA official influencerを兼任し、その後は関東のエリアマネージャーを1年経験しました。当時、エリアマネージャー職に就きながら、Instagramに特化した新設部署のプロジェクトメンバーも兼任しており、エリアマネージャー退任後は新設部署のSNS指導マネージャーに就任し、社内12ブランド店舗スタッフのSNS指導や、SNSのマーケティングなどを行っていました。GYDA official influencerは退社するまで続けさせて頂きました。2022年3月に退社し、その後アパレルブランド「LIVALIE」のブランドディレクター兼アパレル事業部長を務めさせて頂いています。
-前職のMARKSTYLERには丸5年いたんですね。そこからなぜ転職しようと思ったのですか?
本社に異動後、自分のキャリアが見えなくなってしまったのがキッカケです。店舗にいた時は「店長」や「エリアマネージャー」など、次に目指したいキャリアが明確に見えていたので、常にキャリアアップすることを目標に頑張っていました。最後にいたSNSの部署も楽しかったのですが、入社当初から“お洋服を作りたい”という気持ちがずっとあり、転職を考え始めました。
今の会社の求人に応募した際、「新しくローンチするLIVALIEのディレクターとして立ってほしい」と、前職からずっとやりたかった「お洋服を作るチャンス」を頂き、入社を決意しました。
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コンセプトは「型にとらわれず、自分を好きでいる」
実は私がディレクターとして入ってから、1回ブランドコンセプトを変えているんです。ローンチをしたときは水着・下着ブランドとしてローンチしており、その時のコンセプトは「強くクールな女性を表現する、音楽とファッションを融合したブランド」でした。ですが、2022年AWから本格的にレディースアパレルをやっていくことを決め、コンセプトを一新しました。コンセプトを考え始めた時に最初に思ったことが「女性がライフステージにとらわれず、自分の好きな服を着て、自分を好きでいてほしい。全ての女性にかっこよく輝いてほしい。」でした。
「独身・既婚・ママ・年齢…..など、どんなステージに立っていても、世間が思う”型”にはとらわれず、自分が着たいと思うお洋服を着て欲しい。」そんな思いでこのコンセプトに変更しました。
「自分が好きなことをして今よりももっと自分を好きになる、自信を持てる」そんなキッカケを、LIVALIEのアイテムを通して提案していきたいと思っています。
デザインが思いっきり入ってしまうと、どうしても飽きが来てしまうと思うんです。なので、「カジュアルの中にも女性らしさやセクシーさを取り入れること」を意識し、目に付くデザインは入れず、シンプルを意識し、細かいディティールやシルエットにとことんこだわって作りました。
-日常生活にスッと取り入れやすいアイテムが多いですよね。
まさにそれを目指しています。今の時代、ファストファッションが主流になってしまっていて、私自身も「ワンシーズンはこれで良いかな」という思いでお洋服を買っていました。ですが、いざ自分が作るとなった時に「お客様に長く愛用して欲しい」という気持ちが強くなりました。流行りにとらわれず、シルエットにこだわったLIVALIEのアイテムを是非手に取って頂きたいです。
-特にシルエットこだわってるアイテムはどれでしょうか?
今季のAutumnアイテムは全部で14型です。その中でも特にこだわったのは「LIVALIEタイトミニワンピース」。シルエットはどんな体型の方にもフィットし、ボディラインが綺麗に見えるように仕上げました。また、脚のラインが綺麗に長く見えるよう左の太もも部分にスリットを入れています。ミニ丈ですが首元をボトルネックにし、大人っぽくセクシーに着用していただけるワンピースです。
首後ろには“LIVALIE”ロゴを入れています。ショートヘア、ミディアムヘアの方は動いた時にチラッとロゴが見え、ロングヘアの方はアップヘアにしてロゴを見せても可愛いです。
-Autumnアイテムで特にオススメのアイテムを3つ教えてください。
1つ目は、先ほどお伝えした「LIVALIEタイトミニワンピース」。何度も修正に修正を重ねて出来上がったアイテムです。ミニ丈ですが、どうしたら一番足が細く見えるか、低身長、高身長関係なくちゃんと着れる丈になっているか、ミリ単位で丈感にこだわりました。また生地にもこだわっていて、私自身が敏感肌ということもあり、敏感肌の方でも下着の上から着れる、ボディラインにしっかり添い綺麗に見せてくれる生地を選びました。カラー展開は、ブラック、グレー、カーキの3色です。
2つ目は、「ツイードセットアップ」。ツイード生地なので、女の子っぽい印象のセットアップですが、大人の女性らしさを出したかったので、単品使いが出来る且つ、オケージョンの際も着用できるように、ボタンは全てゴールドにして高級感が出るようにしました。カラー展開はブラック(上:下)、グリーン(上:下)の2色です。
3つ目は、「LVLEロゴスウェットトレーナー」です。LVLEはオリジナルロゴにしており、刺繍にしました。長く使用して頂きたいので、生地と同色の糸にし、ロゴはあまり目立たないように仕上げました。また、着用した際のシルエットにもこだわったアイテムです。あると嬉しい便利なポケットも両サイドにつけたのでフラッとコンビニに行く時や、軽いお出かけの際にも手に取りやすいアイテムです。
-LIVALIEのお洋服のサイズ展開は?
基本的には全てワンサイズですが、ボトムはサイズ展開があるアイテムもあります。
-オススメのコーデを教えてください。
今季トレンドが「Y2K」なので、LIVALIEからも「Y2K」のファッションアイテムとして、「プリーツミニスカート」を発売しています。女の子らしい「プリーツスカート」に、LIVALIEらしい背中が大胆に空いた「ボディスーツ」を組み合わせると、カジュアルの中にも女性らしさやセクシーさを残して着用できるのでオススメです。
綺麗めなコーディネートとして、「ツイードショートジャケット」の中に「タートルスリットロングワンピース」を合わせるのもオススメです。「タートルスリットロングワンピース」も大胆にスリッドを入れ、女性らしいセクシーさが出るように仕上げました。ロング丈×タートルネックの組み合わせですが、アッパーすぎず、ツイードショートジャケットを組み合わせることで大人の女性らしさを演出できます。
「トレンドを残しながらも女性らしいコーディネート」が、LIVALIEでは多いです。
まず、ハイブランドのコレクションは全部見るようにしています。トレンドカラーや、その年に流行る型などはハイブランドから落ちてくるので、必ずチェックしています。
次に、自分達が今季どういうアイテムを作りたいのかを考え、作りたいイメージをアウトプットする為にピンタレスト使ってイメージに近い画像を沢山出します。
-Maoさんのデスクの前に貼ってあるコラージュはそのイメージですか?
そうです!毎シーズン60型程の案を出し、そこから部署内で企画会議を行います。「これは可愛いけどデザインがやりすぎている」「流石にこれは着れないよね」というモノは全部外していき、最終的には15〜20型程が残ります。実際にサンプルが上がってきた後、イメージと違ったというパターンもあります。今もWinterアイテムを作っている最中で、50型程案を出しましたが、最終的に残ったのは20型程度です。
それを資料にまとめ、メーカーさんと商談を行います。商談の際は、資料を元に口頭で説明をしながら具体的にこういうものを作りたいとメーカーさんに伝え、1stサンプルを作成してもらいます。1stサンプルが上がってきたら実際にサンプルを着用し、「丈をもう少し直したい」「ウエストをしぼりたい」など、自分たちのイメージにサンプルが近づくよう、実際に着用してみた感想も含め、頭の中のものを更にアウトプットしてメーカーさんに伝えています。サンプルは3回まで上げることができるのですが、基本的に2ndサンプルで最終調整し、量産に持っていきます。
⏫Maoさんのデスクの前に貼ってあるコラージュ
-3分の1のみが残るんですね。
一度企画会議のあと10型ぐらいになった時は焦りましたね。再度、企画のイメージ出しから始めることはよくあります(笑)。
-デザインを50型作るのは相当な労力が入りますよね。
そうですね。まだスタートしたばかりのブランドなので、固定のファンの方がいらっしゃらないことが逆にチャンスだと思ってます。今は私たちが着たいと思う服しか作っていないので、そこに共感してくださる方が増えていけばいいなと思っています。アパレル事業部内の会議でもよく「まずは私たちが着たいと思うお洋服を作っていき、可愛いと共感してくださる方々をLIVALIEのファンにできたらいいね」とよく話していますし、そういう方針で動いています。
-展示会を今後やっていく予定はありますか?また実店舗の予定は?
今年はやらないですが、来年できたらいいなと思っています。実店舗を持つことは現状考えていなく、基本的にwebサイトをメインに販売します。定期的なポップアップストアの出店は計画中で、シーズンごとに年4回できたらいいなって思っています。
-ブランドのイメージモデルは決まっていますか?
LIVALIEの契約モデルは全員nutsモデルです。MAAYA、KATOMIKA、あん、あいみの4人が契約モデルです。
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-LIVALIEはメンズも出してる?
メンズアイテムは下着とユニセックスのTシャツを発売しています。ユニセックスとは謳わないですが、秋に発売予定のトレーナーとパーカーは男性も着る事ができます。
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-現在、苦労していることやプレッシャーを感じることはある?
苦労していることはあまりないですね。キツイ状況でも私は楽しめるタイプの人間なので(笑)プレッシャーで言うと、「売れなかったらどうしよう」という思いは常にありますね。
アパレル事業部は私ともう1人の二人なので、月に1度、2人でミーティングをする時間を作っています。上司・部下関係なくお互いに嫌だったことや、助かったことなどを話すようにしています。2人しかいないのでお互いに不満などを溜め込まないようにすることは大事にしています。
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-これからLIVALIEに人が増える予定は?
増やしたいですね。でも人員を増やすにしても「その時にどんなスキルを求めるか」は関係してくると思っています。私たちにはないスキルを持っている子が欲しいですね。
そうですね、原動力は2つあります。
原動力①:「這い上がる精神」
原動力②:「お母さんの自慢の娘であり親孝行し続けていきたいから」です。
高校時代、家庭の事情で親に頼ることができない環境だったので、バイトを3つ掛け持ちし、自分に掛かるお金は全て自分でやりくりする生活を送っていました。その頃に経験した「生きるためには自分で頑張るしかない状況」が、今の原動力である「這い上がる精神」に繋がっているんだと思います。
高校卒業後は、私が東京の専門へ進学するタイミングと同時に、4つ上の兄も東京での就職が決まっていたので、「それならお母さんも一緒に上京して、家族みんなで心機一転頑張ろう」と、家族3人で東京に出てきました。
上京をしてから一番最初にお母さんと住んだアパートは6畳ロフト付き、駅から徒歩15分の古いアパートで、家賃の高さには本当に驚いたのを覚えています。
そこで更に「ここにはずっと住み続けたくないから、なんとしてでも這い上がってやろう」と決心し、ここまで仕事を頑張って来れました。今は上京当時に目指していたCAとは真逆のアパレルに進みましたが、「好きなことを通して自分が何をしたいのか、何ができるか」を考え「這い上がる精神」を持って突き進んで行き、結果的にいつの間にかキャリアを積んでいたので、自分の選択は間違っていなかったと思っています。
お母さんには本当に感謝していて、母としても1人の女性としても私が1番尊敬している存在です。今思えば私が小学生・中学生当時は、生活するだけでも大変だったのに、そんな状況の中でも私たち兄妹に習い事も、好きなこともさせてくれて、相当頑張って働いていたと思いますし、お母さんのおかげでここまで育ってこれたと思っています。
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そんなお母さんが私の活躍を1番喜び、1番応援してくれているからこそ、ここまで仕事を頑張って来れたんです。東京で母と別で1人暮らしをしていた時期もあったのですが、去年から4年振りにお母さんと一緒に暮らし始めました。上京した時は2人で6畳のアパートに住んでいましたが、今は2LDKの家賃を私が払えるくらいになり、お母さんにふと「今が人生で1番幸せだよ。ありがとう。」と言われた時は部屋で泣きました(笑)。これからも仕事も頑張りながら、お母さんの自慢の娘であり続け、親孝行をしていきたいと思っています。
1997年生まれ。株式会社Teen2c アパレル事業部長兼LIVALIEブランドディレクター。文化服装学院非常勤講師。日本外国語専門学校エアライン科を卒業後、2017年に株式会社MARK STYLERへ新卒で入社。GYDA渋谷109店へ配属。2018年GYDA渋谷109店長、同時期にブランドインフルエンサー就任。2020年関東エリアマネージャー着任。2021年本社へ異動後、SNSマーケティング部署指導マネージャー着任。Instagram を通し、社内ブランドアイテムの販売指導、推進。社内 12 ブランドのスタッフ指導を担当。主に Instagram を含む SNS マーケティングの調査や Instagram 上での顧客獲得、フォロワー獲得の指導にあたる。2022年にMARK STYLERを退社後、株式会社Teen2c入社。LIVALIEブランドディレクターの傍ら、文化服装学院非常勤講師も務め、自身もインフルエンサーとして活動中。
インタビュー・記事:竹井 裕香
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