Z世代のトレンドは、移り変わりの速さが大きな特色。
ネット上に溢れる多くの情報を当たり前のように取捨選択している「SNSネイティブ」の彼らにとって、トレンドとは命の短い生モノとなっております。
そのため、毎週更新されていくトレンドをキャッチして、コンテンツに落とし込むハードルは企業にとって高いものとなっており、トレンドリサーチにもかなりのカロリーを要するようになりました。
Youth Clipでは、「SNS最新トレンド」を毎週レポート報告いたします。
2022年11月12日〜18日のトレンドを、若者の傾向や流行った背景と共にご紹介。
毎年秋・冬に多くの世代で活用される「ニット帽」。
今年、Z世代では猫の耳をモチーフにした独特なシルエットのニット帽がトレンドに。
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一見ユニークなルックスでファッション性が高く、使用するには敷居が高いと捉えられがちですが、Instagram上では関連するハッシュタグのついた投稿が既に1000件を超えており、若者を中心にファッションに取り入れる方が増えてきている現状にあります。
この猫耳ニット帽が話題となったのは、スコットランド生まれのデザイナーが立ち上げたブランド『Charles Jeffrey Loverboy(チャールズ ジェフリー ラバーボーイ)』がきっかけ。
2022年1月、当ブランドの猫耳ニット帽を一般ユーザーが投稿したことで、ファッショントレンドの感度が高い若者から注目が集まりました。
ですがそのユニークな形から、すぐに日本の若者の中で一般化することはなく、2021年度の冬は幕を閉じます。
しかしその後、海外からY2Kファッションのトレンドが伝播したことを火種に、より派手でキャッチーなファッションを好む若者が急増。
ユニークで目を引くファッションアイテムに抵抗感を抱かなくなる若者が増えたことで、猫耳ニットキャップのようなアイテムも気兼ねなく普段使いできる方が増えたのではないかと推測することができます。
◎奇抜だが、SNS映えするキャッチーなアイテムが好まれる傾向に
先述した通り、Y2Kファッションの流行により派手なものを好む傾向にある今年のZ世代。
Y2Kファッションの流行は、単純にファッショントレンドの周期が巡ってリバイバルした、海外からのトレンドが伝播した、という背景も見受けられます。
しかしZ世代にとってY2Kファッションとは、そういった背景だけが要因ではなく、2000年代に多く見られた華やかなファッションは幼い頃を思わせる懐かしさのあるものであるため、
「コロナ禍で鬱屈とした中で感性に響き、ニーズに応えてくれた」
という感覚を抱かせるものだったと言えるでしょう。
そして、平成初期の若者と今を生きるZ世代の大きな相違点としては「SNSを日常的に使用し、自己発信も行なっている」ということ。
日常を写真や動画に切り取って編集し、SNSに投稿している多くの若者にとって、SNS映えするキャッチーなアイテムは、普段使用するにあたって選ばれ、好まれやすいものとなっているのです。
そういった背景が、Z世代をより「派手好き」にさせているのではないかと考えられます。
猫耳ニット帽が流行する要因として「周回的に回ってきた20年程前のトレンドに沿っていること」、「SNSに投稿しても目を引く派手さがあること」「幼い頃を思わせる懐かしさがあること」「コロナ禍で閉塞的になっており、反動的によりポップなものを手に取りたくなること」など、複数の見解が挙げられます。
Z世代のトレンドを生み出すには、単に「SNS映えするから」、「何となく若者が好きそうな派手さだから」などの浅い理由付けだけでは実現が難しく、さまざまな要素を合併させて初めてブレイクするものなのかもしれません。
記事:大北 友紀乃