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舞台「インヘリタンスー継承ー」若かりし頃のヘンリーとウォルターを演じた野村祐希さん佐藤峻輔さんにインタビュー

2024.02.11

                    

2月11日から東京芸術劇場で始まる舞台「インヘリタンス-継承-」。今回はゲイのカップルであるヘンリーとウォルターの若かりし頃を演じた野村祐希さん佐藤峻輔さんに舞台の魅力や稽古の裏話などをお聞きしました。

 

 

舞台の魅力を教えて下さい!

 

野村:まず、オリヴィエ賞4部門・トニー賞4部門受賞している作品を日本で行えることが魅力。僕らも、観る人にとっても見たことがないような世界観であると同時に6時間30分にも及ぶあまり体験したことのない舞台になっていると思います。

 

 

 

今まで6時間30分の舞台はほぼないと思いますが、お稽古はどのような感じですか。

 

佐藤:1部2部で完全に分けてお稽古をしています。 今は1部のお稽古真っ只中で2部はまだ始まっていません。(取材日:1月11日)

 

野村:大体舞台は2時間30分長くても3時間で、お稽古は全部含めたら1か月ちょっとのことが多いです。でも、今回の舞台は12月からお稽古が始まって、12月中はずっと本読み。これがまず初めての経験でした。1月に入ってやっと立ち稽古に入って、最初のシーンから順にお稽古しています。

 

佐藤:さっき、マネージャーさんにお稽古は順調?って聞かれたんですけど、もう初めてのことが多すぎて順調かどうかも分からないです(笑)なので今はとにかくついていくという感じで頑張っています。

 

 

 

ゲイという役を演じるにあたって行ったことがあれば教えて下さい。

 

佐藤:「ゲイだから」という印象をあまりつけたくないので全く意識せずにやっています。普段の生活の自由さじゃないけど、そういうのを相手役のヘンリーにぶつけたいと思っていて。ただ、ゲイの友人の様子を少し探ったり、仕草やどこでどういう話題に食いつくのかというのは見させて頂きました。「いちにんげん」の人生というか魅力を伝えられたら良いなと思ってやっています。

 

野村:僕もそんなに意識していません。演出の熊林さんが役作りがあまり好きじゃないというお話をされたことがあって「ひととなり」が出るお芝居をして欲しいと言われたのでそのままやらせて頂いています。同性を好きというのと異性を好きという気持ちは変わらないと思うので、そういう意識でやっています。

 

 

 

舞台を作る上でキャストの皆様全員での話し合いが必要な部分が多いのではと感じまし たが、なにか話し合いをされましたか。

 

佐藤:「継承」とあるように3世代の話になっていて、それぞれの世代の話ではあるので、全員でここはこうだよねという話し合いをしていくというよりはそのシーンごとでここ はこうだよねと話しをすることが多いです。

 

野村:そうですね、全体で話し合いというより、ここはこういう時代、年だよね、この事柄はこういう意味で、コミュニティの中でのヒエラルキーはこうだよねと、共通認識を固めていく作業の方が多いです。僕らからウォルターの篠井さん、ヘンリーの山路さんと今はそんなに話し合っていないです。ただ、若いウォルターと現ウォルター、若いヘンリーと現ヘンリーが一緒に出るシーンをまだやっていないので、そのお稽古に入ったら話すと思います。ただ、僕は山路さんをずっと見ています。ヘンリーを演じるうえで山路さんの癖に寄せていけたら良いなと思って。

 

佐藤:それでいったら僕も役としても人としても観察させて頂いています。あとは、エイズ問題なども出てくるシーンがあるのできちんとした知識を得るためにレクチャーを受けています。間違いのない情報を伝えるというのが僕たちの役目だと思うので。

 

 

 

先程の質問と被る部分ありますが、お2人はゲイのカップル役ということで2人で話し合いや役作りを行ったことがあれば教えて下さい。

 

野村・佐藤:話してない!(仲良くハモっていました(笑))

 

佐藤:今のところは出てくるセリフなどからお互いがこういう人だという認識が固まってきているという感じです。あとは演出とその時の空気にお任せしています!

 

野村:正直僕らが何かをやるというよりは篠井さんと山路さんを見て合わせていくというか雰囲気をつかんでいく形が多いです。

 

佐藤:もう分からないことがあったら本人に聞くという感じです。

 

野村:個人的に僕と山路さん、峻輔と篠井さんのキャラがあっていると思っています。

 

佐藤:すごいですよ、ヘンリー!山路さんと野村さんが稽古場に来た時、イメージしていたヘンリーがそのままいるので、もはやおっかないですもん(笑)なので、そこについていくだけという感じですね。

 

野村:正直、ずっと探り探りです。実際やってみないと分からないというのが多いので。

 

 

 

お稽古の雰囲気はいかがでしょうか?。

 

野村:そんなにピリッとはしていないです。演出の熊林さんも楽しい方で、面白い感じにしようとして下さって、ここはこうやって遊んでみてと言われたりします。

 

佐藤:良い意味でメリハリがあるので、こっちも遊びたいってなるし、遊べるところはどこだろうって探すようになります。本当に楽しいです!女性のキャストの方が麻実さんしかいないので男だらけの稽古場もなかなか珍しいなと思っています。

 

野村:座長の福士さんも喋ってくださいますし、盛り上げてくださいます!新原君もずっとワーワーやっているので(笑)、本当に楽しいです!

 

 

 

時代背景なども踏まえてZ世代には考えて欲しい内容の舞台だと思いますが特に注目して欲しいという部分があれば教えて下さい。

 

佐藤:ゲイの話だけど、ゲイという概念をなくして見て欲しいです。そうしたら、シンプルな人の生き方が見えると思うし、愛だったり欲みたいなものがストレートに伝わるんじゃないかなと思います。お客さんも僕らも「いちにんげん」という意味でもそこに着目してもらえると嬉しいなと思います。気張らずに見て欲しいです!

 

野村:今の若い人たちはLGBTQの方々が周りにいることが当たり前になっているし、抵抗もないと思います。でも、ゲイであることが当たり前ではなかった時代があったという歴史を知って欲しいし、そこに注目して見て欲しいと思います。

 

佐藤:僕自身も初めて知る内容の方が多かったですし、今の世の中から考えると現実味のない部分もあります。ただ、セリフとしても芝居としてもそういう部分を見せられる演出だと思うので、こういう時代があったということを知って欲しいです。しかも2015年から2018年の3年間の話なのでそんなに昔の話じゃない。

 

野村:あとは、ゲイ文化を受け入れて欲しいけど、ゲイコミュニティという文化が薄まってしまうのは嫌だという葛藤の部分もこの舞台には出てくるのでそういうところにも注目して欲しいです。

 

佐藤:この舞台を見たら自分に自信が持てると思います。人の自由な部分が描かれているし、個人個人の個性がまさにキャラクター(役)に出ているので、そういう人もいるんだ。自分も今のままで良いんだと思えると思います。

 

 

 

Z世代と呼ばれる人たちに対してZ世代と呼ばれる佐藤様、野村様が舞台を通して伝えたいことを教えて下さい。

 

野村:今、当たり前であることが当たり前じゃない時代もあったんだよということを伝えたいです。自分たちの知らなかった歴史をこの作品を見て学ぶじゃないけど、頭の片隅にこういう時代もあったんだなと思ってもらえたら嬉しいです。「継承」とありますけど、自分たちよりあとの世代にその歴史を継承していって欲しいなと思っています。

 

佐藤:純粋で正直でいることがどれだけ難しいかということを知らされる舞台内容になっていると思います。まっすぐ生きよう。と思ってもらえたら嬉しいなと思っています。本当に正直に真っすぐな心が伝わって欲しいです。そして、α世代の方々にその真っすぐな心をどんどん継承して欲しいです。僕も負けないように頑張るので!

 

野村:そしてなにより、内容も内容ですし、6時間30分もあるんですけど、単純に楽しんで欲しいです。僕らも飽きないような工夫をしつつ、演じさせてもらうので、本当に楽しんで欲しい。ゲイだからと言って感情移入できないということはないと思うので、フィルターを取ってもらって、本当に楽しんでもらいたいです。

 

 

『インヘリタンス-継承-』

作 マシュー・ロペス E・M・フォースターの小説「ハワーズ・エンド」に着想を得る。

演出 :熊林弘高

出演

福士誠治

田中俊介

新原泰佑

柾木玲弥

百瀬 朔

野村祐希

佐藤峻輔

久具巨林

山本 直寛

山森大輔

岩瀬 亮

篠井英介

山路和弘

(後篇のみ) 麻実れい

 

東京公演 2024年2月11日(日)~2月24日(土)東京芸術劇場 プレイハウス

大阪公演 2024年3月2日(土) 前篇12:00 後篇17:00 森ノ宮ピロティホール

北九州公演 2024年3月9日(土) 前篇13:00 後篇19:00 J:COM北九州芸術劇場 中劇場

 

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取材・記事:山口万由子

写真:富安優斗

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