【YOUTHClip CINEMA GUIDE vol.28】今週の映画セレクション/『パレード』
毎週月曜日にお届けする連載企画【YOUTHClip CINEMA GUIDE】今週の映画セレクション。
本コーナーでは、現役大学生で構成されたYOUTHClip編集部員が、“今観てほしい”おすすめの映画をセレクトし、その魅力をご紹介します。
今回取り上げるのは、Netflixオリジナルとして配信され、人々に多くの感動と希望をもたらした作品『パレード』です。
目次
1.キャストスタッフ&ストーリー
2.会いたい人に会えなかった時代
3.現世との繋がり
1.キャストスタッフ&ストーリー
出演:長澤まさみ
坂口健太郎 横浜流星 森七菜
黒島結菜 中島歩 若林拓也 / 深川麻衣 でんでん
舘ひろし(特別出演)/ 北村有起哉 木野花 奥平大兼
田中哲司 寺島しのぶ
リリー・フランキー
監督・脚本:藤井道人
製作:Netflix
瓦礫が打ち上げられた海辺で目を覚ました美奈子(長澤まさみ)。離ればなれになった一人息子・良を捜す彼女は、道中で青年・アキラ(坂口健太郎)や元ヤクザの勝利(横浜流星)、元映画プロデューサーのマイケル(リリー・フランキー)とその仲間たちと出会い、自分が亡くなったと知る。未練を残してこの世を去ったため、まだ“その先”に行けないのだと……。彼らもまた、様々な理由からこの世界にとどまっていた。現実を受け止めきれない美奈子だったが、月に一度死者たちが集い、それぞれの会いたかった人を探す“パレード”に参加したことを機に、各々の心に触れていく―。
2.会いたい人に会えなかった時代
本作では、震災によってこの世を去った主人公が、一人残してしまった幼い息子にもう一度会うため、「想いを残した者たちが留まる世界」で開かれるパレードに参加します。津波を示唆する描写から、東日本大震災を思い起こす方も多いでしょう。
しかし、本作が公開された2024年は、日本がコロナ禍の脅威からようやく抜け出し始めた時期でもありました。感染症の影響によって、会いたい人に会えない日々を過ごし、突然、大切な人との別れを経験した人も少なくありません。
だからこそ本作は、震災だけでなく、そうした喪失を経験した多くの人々の心にも寄り添う作品だと感じます。不可抗力による別れに心から納得できる日が訪れるとは限りません。それでも、「もしこんな世界が本当にあったなら」と願わずにはいられないような優しい希望を与え、残された者の心を救ってくれる作品になっています。
3.現世との繋がり
(以下の内容はネタバレを含みます)
”想いを残した者たちが留まる世界”に姿を見せた高校生のナナ(森七菜)。ナナは現世であったいじめを苦に自ら命を絶ちました。死後の世界に来た後も誰にも心を開かず、反抗的な態度を見せるナナでしたが、このナナこそが現世とあの世を繋ぎ物語のカギを握る人物となるのです。実はナナの命はまだ消えておらず、現世で昏睡状態になっているのでした。つまり、現世とあの世の中間を彷徨っているということです。最終的に現世に戻ることができたナナが、美奈子やアキラがいる世界で受けた恩を時間をかけて返していくラストシーンは涙なしには見られません。
4.だからZ世代に届けたい
本作を特にZ世代に観てほしい理由は、「生きること」について真正面から向き合える作品だからです。
SNSでは誰かの幸せや成功が簡単に目に入り、人と比べて苦しくなることがあります。学校や職場、人間関係の悩みを一人で抱え込み、「自分なんていなくてもいい」と感じてしまう人もいるかもしれません。
本作に登場するナナもまた、現世でのいじめによって自ら命を絶ってしまいました。しかし、死後の世界でさまざまな人と出会い、自分が誰かに必要とされ、誰かを救うことができる存在だったと知ります。そして現世へ戻った彼女は、その世界で受け取った優しさを、今度は自分が誰かへ返していくことを選びます。
この作品は「死」を美しく描く物語ではありません。むしろ、生きているからこそ人と出会い、想いを伝え、未来を変えられるのだと教えてくれる作品です。
会いたい人がいること、大切に思える人がいることは、生きている今だからこそできること。本作は、当たり前の日常が決して当たり前ではないことを改めて気づかせてくれます。
。将来に不安を抱えている人も、人間関係に悩んでいる人も、大切な人との別れを経験した人も、この作品を通して「今日を生きること」の意味を少しだけ見つめ直すきっかけになるはずです。
Tel:03-6712-5946
記事:根市涼花
