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【YOUTHClip CINEMA GUIDE vol.07】今週の映画セレクション/『ナミビアの砂漠』

YC youthclip(YOUTH Clip 編集部)
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【YOUTHClip CINEMA GUIDE vol.07】今週の映画セレクション/『ナミビアの砂漠』

 

毎週月曜日にお届けする連載企画、【YOUTHClip CINEMA GUIDE 】今週の映画セレクション

本コーナーでは、現役大学生で構成されたYOUTHClip編集部員が、今観てほしいおすすめの映画をセレクトし、紹介します。

今回取り上げるのは、2024年9月に公開され、第77回カンヌ国際映画祭、第16回TAMA映画賞、第68回ブルーリボン賞など、数々の祭典で高い評価を得た映画『ナミビアの砂漠』。山中瑶子監督×河合優実という若き才能のタッグが実現した話題作です。

21歳の主人公・カナは、仕事も恋愛もどこか惰性のままに過ごしている女性。そんな日々のなかで、自分の居場所とは何か、自分自身とは何者なのかを模索していきます。カナという存在に触れることで揺さぶられる価値観、そしてこれまでとは違う視点で自分と向き合うきっかけ。本作は、迷いや不安を抱えながら今を生きる若い世代にこそ届いてほしい一編です。

目次

 

1.キャストスタッフ&ストーリー

2.本当の自分とはなにか?

3.タイトルが示唆する彼女の孤独

4.だからZ世代に届けたい

1.キャストスタッフ&ストーリー

 

 

出演:河合優実
   金子大地/寛一郎
   新谷ゆづみ/中島歩/唐田えりか
   渋谷采郁/澁谷麻美/倉田萌衣/伊島空
   堀部圭亮/渡辺真起子

監督・脚本:山中瑶子

配給:ハピネットファントム・スタジオ

 

◇ストーリー

 

世の中も、人生も全部つまらない。やり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている、21歳のカナ。優しいけど退屈なホンダから自信家で刺激的なハヤシに乗り換えて、新しい生活を始めてみたが、次第にカナは自分自身に追い詰められていく。もがき、ぶつかり、彼女は自分の居場所を見つけることができるのだろうか・・・?

2.本当の自分とはなにか?

本作の主人公・カナは、世間一般の価値観から見れば、倫理観に欠けていると受け取られてしまう人物かもしれません。同時期に二人の男性と関係を持ち、仕事では不適切な発言をして解雇され、身近な人ほど雑に扱ってしまう。理解しがたい行動も少なくありません。しかし、「理解できない」と感じているのは周囲だけではなく、実はカナ自身もまた、自分のことを理解できずに苦しんでいます。自分の感情をうまくコントロールできないこと、自分が何を求めているのか分からないことに、強い葛藤を抱えているのです。作中では、医師から双極性障害や境界性パーソナリティ障害の可能性を示唆される場面や、自身と恋人の喧嘩をどこか他人事のように俯瞰している描写もあります。そうした演出から、彼女の精神状態の不安定さがうかがえます。けれど、カナは決して“ただ無責任に生きている”わけではありません。自分でも自分を理解しようとし続けている。その不器用な模索こそが、この物語の核なのだと思います。最も近い存在である恋人とはうまくいかないのに、会ったばかりの隣人の言葉は不思議と受け入れられる。そんな描写からは、人と人との距離や相性の複雑さも見えてきます。

日常の中で、自分とは違う、理解できないと感じる誰かに出会ったとき。拒絶するのではなく、まずは理解しようとすること。その姿勢が、ほんの少し世界の見え方を変えてくれるのかもしれません。

 

3.タイトルが示唆する彼女の孤独

 『ナミビアの砂漠』という印象的なタイトルは、ナミビア共和国にあるナミブ砂漠に由来しています。「ナミブ」は現地の言葉で“何もない場所”を意味すると言われています。暇つぶしに映画を勧められ、「映画なんか観て何になるんだよ」と言い放ったカナ。そんな彼女が日常的にスマートフォンで眺めているのは、延々と続くナミブ砂漠の映像です。多くの人の感情が込められ、観る者の心を揺さぶる“映画”という存在。それとは対照的に、変化も起伏もなく、ただ広がり続ける“何もない”砂漠の風景。この対比は、カナの内面を象徴しているようにも感じられます。彼女の中にある孤独や空虚さ、自分自身や自分の人生に価値を見出せずにいる感覚。ナミブ砂漠の映像は、そんな心の風景を映し出しているのかもしれません。奔放に見える言動や他者との距離の取り方も、実は「もうどうでもいい」という諦めの表れなのではないか。そう考えると、カナの姿は単なる身勝手さではなく、行き場のない虚しさの裏返しにも思えてきます。

 

4.だからZ世代に届けたい

大人になったばかりともいえる21歳の主人公が、自分自身を模索し続ける姿は、万人とは言わずとも、強く胸に刺さる人がいるのではないでしょうか。カナはすでに社会人ですが、21歳という年齢は、大学3年生や就職活動の時期とも重なります。進路や将来、自分の在り方について考えざるを得ない、人生の中でもとりわけ自分と向き合う時間が増える時期です。本作が描いている通り、自分を知るということは決して簡単ではありません。自分でも理解できない感情や行動に戸惑い、苦しむこともあるはずです。それでもこの作品は、抱えている孤独を否定せず、「分からない自分」ごと受け止めてくれるような温度を持っています。

だからこそ、自分を模索し、揺れ動く今を生きるZ世代にぜひ観てほしい作品です。

 

Tel:03-6712-5946

 

記事:根市涼花

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