〈TikTok〉音楽消費者に及ぼす影響 -一体何が本当に「良い人気」なのか –

今現在、Tik Tokは音楽シーンに大きく影響を与え、一方で音楽消費者側にも様々な影響や変化を及ぼしている。
今回は、Tik Tokが音楽業界にとって重要性が増している理由を解説した上で、2022年現在、Tik Tokが「音楽消費者に及ぼしている影響」について事例と共に考察していこうと思う。
Tik Tokが音楽業界にとって重要性が増している理由
音楽ストリーミング成長期の音楽業界。レコード会社にとってストリーミングでの成功を目指すために「Tik Tok」というプラットフォームは必要不可欠になり、重要性が年々増している。
Tik Tokが音楽業界に撮って重要性が増している理由は2つだ。
①世界中の様々なジャンル別アーティストがTikTokに参入し、ユーザー化が加速
⏫2022年に入り、遂にTik Tokのアクティブユーザー数はInstagramを超えた。
②UGC動画、オリジナル動画を生み出すTikTokユーザーのアーティスト化
Tik Tokユーザーが急増している今、音楽業界もTikTokに目をつけ、アーティストをTikTokから発見し「メジャー契約」に至る流れも同時並行して増加。この流れが全世界で起きている事が起因している。
【影響】Tik Tokキッカケで曲を好きに、でもワンフレーズしか知らない人が増加
– Steve Lacy ライブで起きたヒット曲「Bad Habit」の事例 –
TikTokが音楽消費者に及ぼしている影響が、Steve LacyのLIVEにて目に見える出来事が起こった。
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Steve Lacy:1998年5月23日生まれ、米・カリフォルニア州コンプトン出身のギタリスト/シンガー・ソングライター/プロデューサー。 本名はスティーヴ・トーマス・レイシー・モヤ。 高校時代よりiPod TouchやiPhoneをメインツールとして音楽制作を行う。その後、The Internetに加入し、『Ego Death』をプロデュース。このアルバムがグラミー賞、最優秀コンテンポラリー・アーバン・アルバムにノミネートされ、当時高校生にしてグラミーノミニーズに。
この日、ライブにてヒット曲「Bad Habit」が流れても、観客らがワンフレーズしか歌えないという状況が起こったのだ。サビ以外の部分でsing alongを促しても「I don’t know.(分からない)」の観客の声と共に会場は静かに。
@basicallyimonky wait until the end when nobody sang the next first in bad habit 😭 #stevelacy #steve #lacy #geminirights #badhabit #static #darkred ♬ original sound – Anna 🫶
この動画は今日までもバズっている。というのも、彼のライブチケットは高値で転売され古参ファンさえも買えないほどの激戦だったにも関わらず、「Tik Tokでバズっている曲のワンフレーズしか知らないファン」が多く獲得し、ステージの最前を占めているという事実に、ガチファンからは悲憤の声が沸いたからだ。
この動画の拡散により、音楽業界関係者の間でも議論が起こった。プロデューサー・Aviadは「今日スティーブ・レイシーの動画を見るまで、なぜ多くのアーティストがTikTokに苦悩しているのか、全く分かっていなかった」とツイート。
I didn’t fully understand why tiktok frustrates most artists so much until I saw that Steve lacy vid today
— aviad (@aviadpoz) October 17, 2022
彼のヒット曲「Bad Habit」は、スピードアップVer.がTikTokでバズった。その流れに乗り、本家側でもピッチが高いver.、スピードアップver.をリリースしたが、TikTok上でバズりの流れに乗って音楽をアレンジする事が、音楽の本質にとって本当に良いのかと、違う視点でもSNS上で議論が起きている。
@basicallyimonky Replying to @shoeaugh I just cant beleiev he even saw my video 😭 #stevelacy #geminirights #badhabi ♬ Static (Sped Up) – Steve Lacy
若い世代を中心に広がる新たなライブカルチャー
アーティストにとって一体何が本当に「良い人気」なのかを考える
若い世代を中心とした音楽消費者側は、SNS上での自己プロデュースの一環として好きなアーティストやジャンルを選び、コアにそのアーティストが好きかなどの判断基準は多様化してきている。今回挙げた事例のように、実績・才能あるアーティストが「TikTokアーティスト」として括られてしまっているのも事実だ。
TikTokは、「曲を知って貰えるキッカケになる」「バズらせるプラットフォーム」という利点がある。しかし反対に、曲全体ではなくワンフレーズしか分からない音楽消費者が増え、今回の様に「バズっているBad Habitを生で聴いた!」「今イケてるSteve Lacyのライブに行った!」といった、今イケているアーティストのライブに行く事をファッションステータスとし、SNS上で投稿するためだけにライブに足を運ぶ人が若い世代を中心に増加していることも事実だ。こうした今現在の若い世代を中心とした音楽消費者の実態は、現代の若者らしいSNSとリアルで今を作り上げる、「新たなライブカルチャー」とも言えるのかもしれない。
今後もアーティストにとって一体何が本当に「良い人気」なのか考えると共に、Tik Tokの影響により音楽シーンが更にどのような変化を見せるのか注目していきたい。
