

10月24日(金)公開の映画『恋に至る病』にて、「宮嶺望」役を務める長尾謙杜さん(なにわ男子)と、「寄河景」役を務める山田杏奈さんにインタビューさせていただきました。
・キャスト解禁前に、お二人の音声のみが公開されましたが、SNSの反響をみた感想と、出演が決まった際の周囲の方の反応はいかがでしたか?
山田:声だけでも分かってくれる方はいるのではないかなと思っていたので、一足先に皆さんをざわざわさせられたのが快感でした!楽しみにしてくださっているなと感じて嬉しかったです。出演が発表された際にはお友達から、「この作品やるんだね」と声をかけてもらうこともありました。
長尾:声だけで僕を予想してくれていた方もたくさんいらっしゃったので、気づいてくれたことが嬉しかったですし、解禁後に「当たってた!」と喜ぶファンの皆さんが可愛いなと思いました(笑)
メンバーのみんなは、「普通のラブストーリーではなさそうやな」と楽しみにしてくれている様子でした。
・三年前に一度ご共演されていますが、当時と印象が変わった部分などはありますか?
長尾:(山田さんが)持っているオーラや雰囲気というのは、いい意味であまり変わっていないなと思いました。落ち着いているような印象はずっとあります。
山田:三年前に共演させていただいた「HOMESTAY(ホームステイ)」の撮影をしていたときは、まだデビューされていなかったので、この三年間で色々なテレビなどで活躍されている姿を見ていて、会っていない期間の積み重ねのようなものがあるかなと思っていましたがあまり大きくは変わっていなかったです。会ったらすぐにあの頃の空気感が戻ってくるような居心地のいい現場でした。
・宮嶺と景と同じZ世代に作品を通して伝えたいことや、見て欲しいポイントがありましたら教えて下さい。
長尾:Z世代の皆さんは色々なラブストーリーを観たことがあると思いますが、本作は今までに観たことのないようなラブストーリーになっているのではないかなと思います。キラキラだけではなく、刺激的な要素も欲しいという方にぜひおすすめしたい作品です。
山田:ラブストーリーではありますが色々な要素が含まれていて、普通のラブストーリーをたくさん観てきたという方にも、ちょっと違う角度から楽しんでいただける作品になっていると思います。学校以外で巻き起こる事件もありますし、宮嶺と景の2人だけの世界みたいなところも注目して観ていただきたいです。
・監督の演出を受けた感想や、印象に残っているエピソードがありましたら教えて下さい。
長尾:監督は何か細かく指示される方ではないので、「とりあえずやってみようか。」という感じで、僕たちが考えたままに自由にやらせていただけたなと思います。
山田:宮嶺が自転車で走っている姿を、景が電車から眺めながら「がんばれ。」とつぶやくシーンがあるのですが、元々台本にはないセリフでした。その場で監督が、「ちょっと言ってみよっか。」とおっしゃって追加されたものなので、ちょっとしたことで景の想いをどれだけ見せるか、みたいな演出も丁寧にしていただいたと思います。私自身もすごく腑に落ちる部分もあったり、とても楽しく演じさせていただきました。
・お二人が演じた役に対する印象と、演じる上で意識したポイントを教えて下さい。
長尾:宮嶺はすごく普通な子なのかなという印象があります。いい意味であまり目立たないというか、ゲームで表すと初期装備状態のようなキャラクターだったので、特に癖をつけたりするようなことはしなかったです。普通なんだけど、どこか不思議な空気を纏っていて、なぜか分からないけれど、人の目を惹きつける力があると思うので、そういうオーラはどうやったら出せるのかなと考えながら演じました。
山田:景は宮嶺とは対照的といいますか、クラスの中にいても注目を集める人物ということだったので、カリスマ性というのはどうやったら出せるのかと試行錯誤しました。クラスメイトといる時には、声の抑揚や少し芝居がかっているようなところがあってもいいのかなと思ってやっていました。反対に、宮嶺といる時には「あなたにしか見せていない顔ですよ」というお芝居をすることで、少し差が生まれて、景の人間としての姿がより立体的になっていくかなと思って演じました。
・長尾さんも、景といる時の宮嶺と、景以外といる宮嶺の演じ分けはされていましたか?
長尾:景と出会ってから後半にかけて二人の関係性も変わっていきますし、景にしか見せていない姿というのが大半なので、クラスの子に見せる顔とは絶対的に違う部分があります。なので二人だけの空間の時は意識して演じていました。
・撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
長尾:クラスのシーンが大半というわけではなかったですし、演じた役的にも「めっちゃ仲がいい!」という関係性ではなかったので。その中でも同じ事務所の真弓孟之とは、話すことが多かったですね。こんなにしっかり話すことは初めてだったんですけど、優しくて周りに対して気も遣えるしすごくいい子だなと思いました。ずっと話しかけたくなっちゃうので、現場では孟之とよく話していました。
山田:作品の雰囲気的にすごく深く仲良くなるというのはなかったかなと思います。クラスメイトの方々が年齢的に大人の方が多いというのもありましたし、景もクラスの人とつるんだりする描写はなかったので、比較的落ち着きのある現場だったかなと思います。
お二人のシーンはいかがでしたか?
長尾:早めに撮影が終わった日には、「昨日なにしてたん?」みたいな他愛もない会話をしたりすることはありましたが、お芝居の話や打ち合わせをすることはなかったですね(笑)
山田:はい、お互いを信じてやりましたね(笑)
他愛もない会話をしながらすこし気を緩められるような空気感だったと思います。
長尾さんへのご質問です。『俺ではない炎上』でも本作と少し似た繊細さを感じるキャラクターを演じていらっしゃいましたが、長尾さんご自身もそういった繊細さをお持ちでいらっしゃるのでしょうか?
長尾:繊細な部分もあります!(笑)
でもお芝居って経験したことのないこともやらないといけないので、想像の部分が多かったりすると思うんですけど、僕だったらこう考えるな、という感覚で進めていきますね。役に共感できる部分でいうと、宮嶺と同じように一度信じるって決めたら信じ抜くかもしれないです。一途でピュアだからこそ、この作品が成り立っていますし、僕自身も好きなものに対しての一途さは共感できました。
山田さんへのご質問です。自分の全てを見せず謎めいた役を演じられることが多いですが、山田さんご自身はいかがでしょうか?
山田:やっぱりそういう人は魅力的だなと思ってしまいますね。魅力的だなと思いつつも、私は聞かれたらなんでも答えてしまうタイプなので、そんなミステリアスさは出せないなと思います(笑)
・作品にちなみまして、お二人が純粋になにかを好きになったことや、夢中になった経験はありますか?
山田:海外ドラマが好きで、新しいシーズンが出るたびに最初から観直すくらい好きな作品がたくさんあります。時間が空くと忘れてしまっている部分もあるので、観直すようにしています。
長尾:ちゃんと観直すの偉いな!僕は、「確かこうだったよな~。」って予想しながら観ちゃう!
山田:全ては難しいのでこれまでのあらすじみたいなまとめを観て、「覚えてない!」ってなった作品は観直すようにしています。
長尾:小さい頃、ワンピースがすごく好きで、収集癖もあるのでUFOキャッチャーで取ったワンピースのフィギュアが実家にたくさんあります!
・お芝居においてお互いに刺激を受けたシーンはありますか?
山田:宮嶺の取調室のシーンは、現場にもいなかったので、完成後初めて見ました。いつも現場をパッと明るくしてくれる姿を見ているので、色々なことを経て見せる憔悴しきった宮嶺の表情は本当に素晴らしいなと思いました。
長尾:景がスピーチをするシーンは、引き込まれる雰囲気も感じましたし、やっぱり目がすごく素敵だなと思います。パンフレットだけでも、醍醐くんを見つめる目や笑っている目など、色々な目があってすごいなと思いました。
山田さんは目のお芝居を意識されているのでしょうか?
山田:表情は表現の上ですごく大事なものになるので、ひとつのツールとして目のお芝居も意識するようにしています。
山田さんは長尾さんのお芝居で、素敵だなと感じたことを教えて下さい。
山田:声が素敵です。役柄もありますが、切ない声をされているなと。振り絞るようなセリフの出し方というのが宮嶺のキャラクターに合っていて、すごくいいなと思いました。
・長回しや引きのシーンが多かったですが撮影に苦労したシーンはありますか?
長尾:ワンカットで終わったりするので驚きました。
山田:でもワンカットだと早く終わりやすいので、長回しと言われるとちょっとラッキーだなとワクワクしていました。「この一回にみんなが懸けているんだ」という思いでやっていました。あとは冒頭の、自転車の並走シーンが個人的に好きです。
長尾:二人で走ってるのに、一回別の道に行って合流するやつね(笑)
あれ実は、大声で2人が話しているバージョンもあるんです。でも、やっぱり違うねってなったみたいです(笑)
・お二人は学生時代、どんなキャラクターでしたか?
長尾:明るかった気がします。学校がめっちゃ好きでした。仕事を始めていたので行けない日もありましたが、できるだけ行って友達と遊ぶのが好きでした。
山田:中学時代は結構お利口さんでやっていましたが、女子高に入って「もういいや!」ってなって周りの友人と楽しく過ごしていました。騒いだりするというよりは、一歩引いてみているようなタイプでしたが時々混ざったりしながら過ごしていました。
・十代を演じるに当たって、二十代になったからこそ捉え方が変わった部分はありましたか?
長尾:懐かしい気持ちになりますね。そんなに遠い昔ではないので、見え方が変わるというのはあまりなかったかもしれません。
山田:この作品は二人の話がメインですが、学生時代特有のがむしゃらに頑張る、みたいなものだったら私はちょっと厳しかったかなと思うくらい一歩引いてしまっている自分に気が付きました。二十代になって学校という環境から離れたからこそ、俯瞰で観られている部分もあります。十代の頃とは違ったアプローチで学生を演じていけるという面白さはあると思います。
2025年10月24日(金)全国公開予定
出演:長尾謙杜 山田杏奈
監督:廣木隆一 脚本:加藤正人 加藤結子
原作:斜線堂有紀『恋に至る病』(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
配給:アスミック・エース
©2025『恋に至る病』製作委員会