7月に配信がスタートされ、大きな話題となったPokémon Sleep(ポケモンスリープ)。
本作は、枕元にスマートフォンを置いて眠ると睡眠が記録・分析され、ポケモンが集まってくる「睡眠ゲーム」。
日本で配信された約1ヶ月後に1000万ダウンロードを達成し、その後も安定した人気を誇っています。
未知のジャンルが多くの人の心を掴んだのは、なぜでしょうか?
・日本全体の意識変化
「日本人は睡眠不足だ」という言説は、誰もが耳にしたことがあるでしょう。
経済協力開発機構(OECD)が33ヵ国を対象に行った調査では、日本の1日の睡眠時間は7時間22分と最低であり、全体平均より1時間以上短いことが報告されています。
しかし近年研究が進み、睡眠の重要性が見直されてきました。
2017年、西野精治著『スタンフォード式 最高の睡眠』が大ヒットし、「睡眠負債」が流行語大賞のトップ10に選ばれたのが象徴的です。
・Z世代の睡眠重視
Z世代を象徴する価値観に、「chill(チル)」があります。
「働き方改革」の普及とともに育ったため、プライベートのリラックスした時間を重要視するのです。
ビデオリサーチと電通の調査によると、20代から30代前半の若い世代睡眠時間はこの1年で1時間増加し、約8時間になりました。
・睡眠グッズへの需要
以上の流れにより、睡眠をより効率的に、より楽しくするグッズが人気を博しています。
「睡眠の質を高める」チョコレートGABA、「チルする?」リラクゼーションドリンクCHILL OUT、「睡眠投資」入浴剤BARTHなどが代表的です。
顧客獲得争いからの離脱
・可処分所得のブルーオーシャン
様々なコンテンツが溢れたことにより、現代は可処分時間(=自分で自由に使うことができる時間)の取り合いの時代と言われます。
しかし本作のプレイ時間は、「睡眠中」。
他のコンテンツが手をつけていなかった場所を獲得したことにより、単独トップの状態になりました。
・ゲームに興味のない層の獲得
・日中にプレイしなくても問題ない。
・操作がシンプル。
・睡眠が整うという、実生活における明確なメリットがある。
以上の点から、普段ゲームをしない層にも利用されていると考えられます。
「睡眠をきちんと取りたい」という欲求と、今までにターゲットにされていなかった層・時間の開拓が人気の秘密であることがわかりました。人気の背景には、「現代の事情」が関係しているということがわかりました。是非ポケモンと一緒に眠ってみてください!
Tel:03-6712-5946
記事:山岸あゆ実