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映画『東京逃避行』飛鳥役の寺本莉緒さん・日和役の池田朱那さん・エド役の綱啓永さん・メリオ役の高橋侃さんにインタビュー!

2026.03.26

    

3月20日(金)公開の映画『東京逃避行』にて、飛鳥役を務めた寺本莉緒さん、日和役を務めた池田朱那さん、エド役を務めた綱啓永さん、メリオ役を務めた高橋侃さんにインタビューさせていただきました。

 

・完成した本作をご覧になった感想と、見どころを教えてください。

寺本:脚本を読んだときは、もう少し暗い雰囲気で観た人を悩ませるような作品になるかなと思っていたのですが、アップテンポの音楽や終わり方から、想像していたよりも希望を与えられるようなものになったのではないかなと思いました。

 

・寺本さんが現場で体感されていた雰囲気とは異なる作品になっていたのでしょうか?

寺本:撮影時は、どんな作品になるのか全く想像がつかなくて、ワンテイクワンカットが多い撮影だったので尚更「これは作品として出来上がるのか!?」という不安も大きかったですが、想像以上の作品が完成していました。

 

・池田さんはいかがでしたか?

池田:私は撮影期間に本当に余裕がなくて、完成した作品を観て初めて「飛鳥がこんなにも日和に笑いかけてくれていたんだ」と気づきました。私自身その笑顔に救われていた部分がきっと多くて、作品としても「こんなに力強く笑いかけてくれたら日和も飛鳥についていきたくなるよな」と説得力が生まれていたのですごくありがたかったなと思います。初めて出会った女の子二人が一緒に逃げるというのは非現実的ではあるので、ちゃんと成立しているように見えるのかと不安な気持ちもありましたが、頼りがいのある飛鳥の姿が物語に入り込ませてくれました。

 

・飛鳥と日和の関係性がまさに本作の見どころですよね。

池田:そうですね。撮影もすごくリアルを追求しながら行っていて、二人が人混みをかき分けながら歌舞伎町を走るシーンも、実は九割はたまたまいらした一般の方でした。エキストラの方にも協力していただいていたのですが、ほとんどは無関係の一般の方々で、生の空気感がそのまま反映されたシーンになっていると思います。段取りだけしてリハーサルなしに本番、ということも何度かあり、莉緒ちゃんがどんな動きをしてくるのか読めないなかで撮影したシーンもありました。私たちのリアルを感じていただける作品になっていると思います。

 

 

・綱さんはいかがでしたか?

:まさに映画を見ているというより、ドキュメンタリーを見ているような感覚がありました。莉緒ちゃんが言っていたように、ネガティブな空気を持っているように感じる作品ですが、実際は「逃避行」とタイトルになっているだけあって、疾走感もありますし、背中を押してくれるような前向きな作品になっていると思います。尺も約一時間半と、みなさまに気軽に楽しんで見ていただける作品です。

 

・高橋さんはいかがでしたか?

高橋:自分が出演している映画でこんなに泣いたのは初めてでした。お二人(寺本・池田)のお芝居は現場で見ていなかったので、掛け合いや空気感を見られるのが楽しみでもありましたし、僕とエド(綱)のシーンでは涙が出てきました。それが、普通に作品を観ての涙なのか、役に入っていたときの感情が蘇ってきての涙なのか自分でも分からない部分があって、公開したらもう一回見たいなと思っています。

 

 

・みなさまのお話から、役に対する愛がとても感じられますが、脚本を受け取ったときの役の印象と役作りでなにか意識したことがあれば教えてください。

池田:日和はすごく強い存在でいないといけない、と最初は勝手に思い込んでいました。飛鳥のように日和に憧れて歌舞伎町に来るような子がいて、新しい世界も恐れず開拓していくような部分もあるので、みんなが憧れるカリスマ的存在でいなきゃいけないと勘違いしていたんです。でも、監督と話して、「池田さんのままでいいし、弱くていい」と言っていただいて、日和は弱いからこそこの歌舞伎町という場所にいるのではないかと考えるようになりました。自分で自分を守る強さというものがあれば、もしかしたら日和はとっくに今の状況から抜け出せているのかもしれないなと。私は日和と近い性格をしているので、日和の気持ちを理解するための役作りが必要なく、私の弱い部分もそのまま日和として見せていきたいと思いながら演じていました。

 

・演じられていて深く感情移入してしまうこともあったのではないでしょうか?

池田:すごくありました。笑っていないといけないシーンなのに涙が溢れてしまって、ごまかそうとしたのがそのまま本編に使われていたりもしましたが、もしかしたら日和の笑顔にもこんな思いがあったのかなと演じながら考えずにはいられませんでした。

 

・寺本さんはいかがでしたか?

寺本:脚本を読んだときは、ニュースで目にするイメージしかなかった歌舞伎町という場所でこんな世界が広がっているんだという驚きがありました。実年齢よりかなり下な高校生役ということで、お酒を飲みに行ったりするのを控えたり、撮影に入る一か月前くらいからランニングをしたりしていました。性格は自分とすごく似ていて、もし飛鳥と同じ境遇にいたら同じことをするだろうなと思うことばかりだったので、内面においてはすんなり役に入れたかなと思います。

 

・普段から役作りされる際はプライベートの生活を変えてみたりすることがあるのでしょうか?

寺本:あまりにもかけ離れた役だとなかなか上手くいかないこともありますが、日常に少しずつ取り入れていくと、理解度も高まり、役に入りやすいと思います。

 

 

・綱さんはいかがでしたか?

:この作品は登場人物たちのバランスがすごく大事だと思っていて、逆にこの4人のバランスが上手く取れれば、作品全体もいいものになると確信していました。飛鳥と日和が暴れまわる犬だとしたら、僕とメリオ(高橋)は二人を制御する担当といいますか、そんな感覚がありました。二人が自由にお芝居できるように僕らはどっしりと構えていけないなというのは常に思っていました。

 

・綱さんはどちらかと言えば、飛鳥と日和のような自由奔放なキャラクターを多く演じられてきたイメージがあるのですが、今までの役作りと比べて何か心境的な変化はありましたか?

:今回のお話をいただき、演じたことのない役だったので、新しい自分が見えるかもしれないという思いでこの作品に臨みました。どっしりと構えていることを心がけたと先ほどお話しましたが、やっぱり現場では二人(寺本・池田)に引っ張っていってもらった部分が多かったと思います。

 

・高橋さんはいかがでしたか?

高橋:今回の作品から自分のなかで役に対する向き合い方が変わりました。役になりきるというよりは、役を自分自身に寄せて、自分のなかにある本当の感情と役の感情を交差していくような感覚で演じていました。現場に入って、飛鳥や日和、エドの影響を受けたことで撮影中盤くらいからはより一層深く役に入り込めたと思います。今回は、自分が何かを作るというよりも、4人のバランスが大事だったので、現場に行ってみないと分からないことがたくさんありました。本当にお二人(寺本・池田)の役作りは大変だっただろうなとつくづく感じていましたね。

 

・役作りに関して監督とすり合わせなどは行われましたか?

高橋:あんまりしていないんです。ただ、メリオが幼少期に父親が借金作って夜逃げしたことで男性に対する不信感があったり、反対に母親に育ててもらったからこそ受けた母性を飛鳥と日和に返せる部分があったり、という背景は大切にしようと考えていました。

 

 

・寺本さんが演じられた飛鳥は、“逃げずに向き合うこと”の大切さを体現しているような存在でしたが、寺本さんご自身は逃げたくなるような困難に直面したときにはどう乗り越えられていますか?

寺本:私の性格的に、ます逃げたくなるような状況を作らないんです。そこまで追いつめられる前に解決してしまうと思います。でももしそんな場面がきたら、飛鳥と同じように考えるよりも先に行動します。

 

・何か物事に対して時間をかけて悩んだり、落ち込んでしまったりということもあまりないのでしょうか?

寺本:ないです。本当にせっかちで効率重視なので、考える時間が惜しいんです。なので、考えてモヤモヤしている間に何か行動に移そうと心がけています。暗い時間よりも笑っている時間が長い方がいいなと、自然に前向きな考え方ができていると思います。

 

・池田さんが演じられた日和が初めてお父さんに本音をぶつけるシーンが大変印象的で胸を打たれましたが、本番にはどのような気持ちで臨まれましたか?

池田:あの日家に帰ったらああいうことが起こるというのは日和も、私自身も分かっていたので、それに対する恐怖心を素直に持って本番に挑みました。あのシーン実は、段取りもリハーサルも一切なしでいきなり本番でやらせていただいたんです。すごく愛のある現場で、お父さん役の松浦さんは、前日からスタッフのみなさまと色々と準備をしてくださって私が自由にお芝居できるように心使いをいただきました。当日は、監督を挟んで松浦さんとコミュニケーションを取っていたので、本番が初めましての状態です。莉緒ちゃんともその日は一度も会っていなくて、飛鳥が助けに来てくれるシーンで本当に顔を合わせるような状況でした。ワンテイクでそれがそのまま使われていることもあり、リアリティがすごく追及されたシーンになっていると思います。

 

・本番ワンテイクなんてすごく緊張されたのではないでしょうか?

池田:すごく怖かったですし、とにかく余裕がなかったですね。スタッフさんや、松浦さん、莉緒ちゃんがすごく協力してくださったからこそ作ることのできたシーンですし、二テイク目で同じことをやってと言われても絶対にできなかったと思います。

 

 

・演じられたエドは本作の軸となる存在でラストシーンにも注目が集まりますが、どのようなお気持ちでお芝居をされましたか?

:事前の準備としては、通うサウナのお店を普段行っているところから歌舞伎町にあるお店に変えて、日頃から歌舞伎町の空気を感じるようにしていました。現場に入れば、引っ張ってくださるみなさんがいてすごく心強かったです。

 

・エドの佇まいや、セリフのなかで共感できる部分はありましたか?

:エドを演じていてすごくあたたかみを感じました。僕自身も、あたたかい人間でいたいと思いながら生きているので共感した部分も多かったですし、7個下の妹がいるという境遇も同じで共通点をたくさん見つけられた役でした。

 

・高橋さんはこの作品との出会いがすごく大きかった、光のようだったとコメントされていますが、本作が高橋さんにとってどのような存在になったのか具体的にお伺いしたいです。

高橋:この作品に出会うまで、約一年役者の仕事をしていませんでした。役者をやめることを考えながら闇の中をただ歩いていたようなときに、藤井監督や秋葉恋さん、そしてこの『東京逃避行』に出会って、「こっちだよ」と道を教えてくれたような気がしました。なので作品を見てくださった方は、メリオの目にすごく闇を感じると思います。あのときの自分だからこそできた瞬間もあったと思いますし、本当にこの出会いに感謝しかありません。

 

・撮影を行っているときはまだ、光を掴み切れていないような状態だったのでしょうか?

高橋:そうですね。そこに光はあるけれど、届かないような感じでした。光は「ここにあるよ」と教えてくれているけれど、まだ自分のなかにある不安が勝ってしまって危うい状況で居続けていたと思います。

 

・完全に救い出されたと感じたのは完成した作品をご覧になったときでしょうか?

高橋:まさにそうです。初めて試写でこの作品を見たときもそうですし、クランクアップしたときにもそんな感覚がありました。

 

 

・今お話しを聞いただけでもチームワークのよさが伺えますが、撮影中印象に残っているエピソードを教えてください。

綱:しりとりをしていましたね(笑)

池田:4人が一緒になるシーンがあまりなくて、4人が初めて出会った日にしりとりをしました!

高橋:確か俺が「しりとりでもする?」って言い出したんだと思います(笑)

:僕がトイレに行っている間に3人でしりとりをしていて、「いいなぁ」と思いながら近くを歩いてたら誘ってもらえて無事にその輪に入ることができました(笑)

高橋:池田さんが、すごく奇想天外なことを言うんです。世の中に存在しない言葉をまるであるかのように伝えて、一回みんな流すけれどよく考えたら「なんだそれ?」ってなるみたいな(笑)

:「しりとり」って来たら普通「りんご」って返すと思うんですけど、彼女はそういうことを言わないんですよ。

池田:「リーカンパイ!」とか言ってみたり!今思いついただけでそんな言葉ないと思うんですけど…(笑)

高橋:そうしたら俺は「犬」とかって続けちゃうと思うんですよ(笑)そんな感じでずっと楽しくしりとりしていましたね。

 

 

・最後にこれから本編をご覧になるZ世代のみなさまに一言お願いいたします。

寺本:今、居場所がある人にはそのありがたさや尊さを噛みしめるきっかけにしていただきたいですし、まだ見つけられていないという方には、生きていたら出会う人も起こることもきっとプラスのことの方が多いと思うので、そんな時間に巡り合えるように今を頑張って生きてほしいなと思います。

 

池田:ニュースで取り上げられるようなトー横キッズたちのお話かなと思われる方が多いと思うのですが、私たちの世代や高校生たちに限らず全年齢どんな方が見ても色々な考えを持っていただける作品になっていると思います。居場所というのは誰にでも必要なものだと思いますし、私自身日和を演じることやこの作品を通して「愛がある場所に居場所って存在するのかな」と認識するきっかけにもなりました。見てくださるみなさまにも、どうかあたたかい目で登場人物たちを愛していただけたらそれだけで十分だなと思います。

 

:自分が抱えている小さな悩みを、飛鳥と日和がバーンと吹き飛ばしてくれるような、そんな感覚を味わいにぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

 

高橋:とにかく「大丈夫だよ」って伝えたいです。色々辛いことはあるし、人の気持ちは余白でしか感じることはできないけど、僕も30歳まで生きてこられたし、「明るい未来が待ってるよ。大丈夫だよ。」という思いが伝わる作品になっていれば嬉しいなと思います。

 

 

Tel:03-6712-5946

 

取材・記事:根市涼花

撮影:セナ

 

 

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