今、Z世代を中心に「70’s~20’sの各ファッションカルチャー」を自分の個性として新たにスタイリングに落とし込む流れが起きている。代表的な例は「Y2Kファッション」であるが、それ並行して「古着への関心・注目度」が高まっているのだ。
「古着」と聞いてまず思い浮かぶのは何だろうか?
「おしゃれ」「個性的」「安い」「掘り出し物が出てくる宝箱」反対に「人のお下がり」「汚そう」「古着なんてあり得ない」など、様々なイメージを持たれることが多いだろう。
故に「古着」への価値観を定義付けることは難しい。
しかし、「古着への関心・注目度」が高まっているのは事実である。証拠として、各ファッション媒体では古着特集が組まれたり、古着屋を着用した若者のストリートスナップが特集されるなど、「古着」関連ワードの特集や企画は後を絶たない。
今回は「なぜZ世代を中心に古着への関心・注目度が高まっているのか?」を考察し、その理由を紐解いていきたいと思う。
ファッション業界には、20年程前のトレンドが20年毎にもう一度流行る現象「リバイバルファッション20年説」がある。
例を挙げると、90年代には70年代のファッションが流行、2000年代では80年代のファッションが、そして2022年現在、2000年代初期のファッション(=「Y2Kファッション」)が正しく今大流行している。
なぜ「20年」という数字か。20年という月日が経過すると、当時の世代を生きた若者達からそのブームは忘れ去られるが、世代交代をした新たな若者達には20年前の流行が「新鮮で新しく、刺さるもの」となるからである。こうして流行は繰り返される。
よって「当時のトレンドを生きた古着」は、今の若者がリバイバルしたトレンドを取り入れる上で必須アイテムとなって来ていることで「古着への関心・注目度」が高まっている理由の1つとも言えるだろう。
SNS、フリマアプリ、ECの普及が「古着ブーム」に拍車をかけているとも言える。
SNSという場は、古着屋にとって「入荷情報や店舗の魅力を直接消費者へと宣伝できる場所」として欠かせない。更に現代の若者はSNSを通じ、古着の最新情報や知識を勉強しながらもアイテムを選定し、フリマアプリやECで直接購入できる構造ができ上がっているのである。
これもまた、「古着への関心・注目度」が高まっている理由の1つとも言えるだろう。
「古着を着る=個性を着る」
近年ファストファッションブランドが世界中に進出し安く服が手に入ることによって、ブランド間でも競争が激しくなった。そういった業界の影響により、似たような服が大量に流通し、他人と服が被るといった経験をした人は少なからず多だろう。
そんな状況下で個性を重視するZ世代の若者は「安く、そして簡単に自分の個性を表現できる古着」に興味関心を向け、周りとの差別化を図るのではないだろうか。
これらの「リバイバルファッション20年説」「SNS、フリマアプリ、ECの普及」「個性を重視・周りとの差別化を図る若者達」といった理由により、Z世代を中心に「古着への関心・注目度が高まっている」のではないかと考える。
近年ではファストファッションの激化により、衣類の大量廃棄問題、CO2の大量排出や海洋汚染など様々な問題が挙げられている。これらの環境問題対策として、各大手ファッション企業では「地球環境に配慮した製品へ徐々にシフトチェンジする」「古着の無料回収・再利用」など様々な取り組みが成されているが、そんな状況下でも「古着」は唯一捨てず、環境に配慮しリユース(再利用)することができるアイテムだ。そんな考えを持ちながらも、Z世代を中心に広がる「古着ブーム」が今後どう動いていくのか、注目していきたい。
記事:竹井 裕香