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【YOUTHClip CINEMA GUIDE vol.05】今週の映画セレクション/韓国映画『今夜、世界からこの恋が消えても』

2026.02.09

  

毎週月曜日にお届けする連載企画、【YOUTHClip CINEMA GUIDE 】今週の映画セレクション
本コーナーでは、現役大学生で構成されたYOUTHClip編集部員が、今観てほしいおすすめの映画をセレクトし、紹介します。

今回取り上げるのは、2025年12月に韓国で公開され、先週よりNetflixでも配信が開始された韓国映画『今夜、世界からこの恋が消えても』です。

本作は、2022年に道枝駿佑なにわ男子)と福本莉子のW主演で実写映画化され、多くの若者の心を掴んだ日本作品『今夜、世界からこの恋が消えても』の韓国リメイク版。
原作の持つ切なさと純度の高いラブストーリーが韓国でも大きな反響を呼び、公開から約2か月で累計興行収入9億円を突破するなど、日本の実写映画としては異例のヒットを記録しました。

日本発の物語が、韓国というフィルターを通してどのように再解釈され、どんな表情を見せているのか。
“セカコイ”ブームを巻き起こした本作のリメイク版ならではの魅力と、注目すべきポイントをご紹介します。

目次

 

1.キャストスタッフ&ストーリー
2.映像美と音楽で魅せる
3.記憶が人を作るということ
4.だからZ世代に届けたい

1.キャストスタッフ&ストーリー

 

 

出演 チュ・ヨンウ / シン・シア

監督:キム・ヘヨン
配給:Media Castle 

 

◇ストーリー

 

毎日、君の記憶を埋め尽くしたい男、キム・ジェウォン(チュ・ヨンウ)。
学校に行っても何の意欲もなかった私の前に、ある日、笑うたびに輝く長い髪の子が現れ、いつの間にか私の心臓の中に入り込んでいった。
「時間が経つほど、他のことは何も分からなくて、ただ会いたいだけなんだ。」

毎日、記憶を失っていく女、ハン・ソユン(シン・シア)。
記憶が毎日リセットされ、すべてを記録しなければならなかった疲れた日々の中で、背が高く、忘れられない瞳をした一人の少年が、私の記憶の中に入り始めた。
「普段しないことをしてみよう。そうしないと、退屈すぎるから。」

今夜、この愛が世界から消え去ったとしても、
明日の君を、また愛するだろう。

2.映像美と音楽で魅せる

韓国の恋愛映画で際立つ魅力のひとつが、儚さを映す映像の美しさと、場面を彩るOST(オリジナルサウンドトラック)です。本作もその魅力が随所にちりばめられており、花火や海といった登場人物たちの記憶に深く刻まれた景色が、観客である私たちの心にも同じ彩度で届いてきます。
カメラ越しに映し出される大切な人の表情や、ソユンの記憶のなかで何度も呼び起こされるジェウォンとの思い出。それらは、美しさと儚さが同時に息づく映像として描かれています。

また、場面に合わせたOSTが多く使用されているのも注目のポイントです。恋をした瞬間のときめきや、大切なものを失ったときの痛みといった繊細な感情の揺れを、OSTがさらに豊かに増幅させていきます。
日本版でも映像美やエンドロールで流れる主題歌が話題を集めましたが、これら二点には、韓国作品ならではの色彩がより濃く表れていると言えるでしょう。

 

3.記憶が人を作るということ

本作は“記憶”をテーマに描かれた作品です。眠るたびに記憶がリセットされてしまうソユンにとって、大切な記憶や積み重ねてきた思い出を忘れてしまうことは、常に隣り合わせの恐怖でもあります。記憶を留めておきたいという切実な想いから、夜眠ることを怖がり、睡眠時間が短くなって学校でもあくびを繰り返す。そんな何気ない描写の積み重ねが、ソユンの不安や焦りを痛いほど伝えてきます。そんな、忘れることを恐れていたソユンにかけられるあるセリフが強く印象に残りました。
「時が経てば誰しも頭の中の記憶は薄れる。だけど心の中に残ったものは変わらない。」
この言葉は、前向性健忘という病気と生きるソユンだけでなく、観た人みなさんの胸にも響くのではないでしょうか。生きていれば数えきれないほどの経験を重ね、そのたびに記憶は上書きされていきます。なかには、かつて大切だったはずなのに思い出せなくなってしまう記憶もあるでしょう。それでも、その経験が確かに心の中に残り、その人を形づくる一部であり続けるのだとしたら、それは大きな救いになると思います。 字幕を通して言葉と向き合うからこそ、このセリフはより真っ直ぐに、深く心に届くのでした。

 

4.だからZ世代に届けたい

本作は、記憶を失ってしまう少女という印象的な設定を持ちながらも、その特異性を物語の中心に置かず、人と人との心のつながりや、記憶が人生のなかで果たす役割を丁寧に描いた作品です。

日々多くの情報を吸収しながら大人になっていく10代のみなさんにとって、これから先、一生忘れたくないと願う景色や経験に出会う瞬間がきっと訪れるでしょう。その一方で、新しい出来事を重ねるなかで、記憶は少しずつ上書きされ、やがて薄れていくものでもあります。それでも、忘れることを恐れず、たくさんの経験をしてほしいと思います。そのすべてが、その人自身の形となり、いつかふとした瞬間に自分を救ってくれることもあるからです。

生きることの尊さを、これほど高い純度で描いた作品はそう多くありません。本作を観たという記憶もまた、あなたの心のどこかに、確かに刻まれ続けることでしょう。

 

 

Tel:03-6712-5946

 

記事:根市涼花

 

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