

2025年12月20日、シネ・リーブル池袋にて『とれ!』の完成披露イベントが行われ、コウイチ監督・中島瑠菜さん・まいきちさんの3名が登壇されました。
どんな着想でかきましたか?
監督:まず最初に、ホラー映画を作ってほしいというお話をいただいて。そこから、幽霊ではなくもう少し上位な存在である「神様」的存在を題材にしたホラーにしたいというのがあり、十何回もプロットのやり取りをしました。最初と最後では全然違う内容になってます。最初は十二支とかのお話になりそうだったのですが、そこから一体に絞りました。この作品では「神様」をただ怖いものにしようというよりかは、神様に取り憑かれたらどうなるか、というところに重きを置きました。ホラーではあるんですけど、軸は主人公・美咲の成長物語にしようという気持ちで作品と向き合って、最初と最後で主人公が変わっていく、成長していくというような物語になりました。
長編映画を制作するにあたり、意識したことはなんですか?
監督:短編映画やYouTubeはワンアイデアだけで、一つの作品を作成することができるのですが、長編映画はそうはいかなくて、ワンアイデアだけでは内容が足りなくなってしまうんです。感情の流れだったり、大きな流れを作った方がいい、というのを脚本術みたいな本を読んで学びました。今回の作品を幅広い層の方々に楽しんでいただきたいという思いがあったので、「大筋をわかりやすく」を意識して制作しました。
作品の長さはどのようにして決めましたか?

監督:悩んだんですけど、まずドラマ一本(60分)+30分ぐらいで作ろうというイメージで制作に取り組みました。”物語の始まり〜皐月の霊を取り払う”までがドラマでいう一話のイメージで、後の残り30分で”美咲と母親の話”のような感じで90分を想定していたのですが、結構内容がぎゅっとなり、74分の作品になりました。
神様をこのように描いた意図はなんですか?
監督:田舎道とかを走っていると、誰がお参りしているの、誰がこんなところに来るのというような場所に神社があることが多くて、そういうところに一人誰かがお参りに来たら、神様が”取り憑く”相手が、ぐっと一人に絞られると思うんですよ。神様自身は、怖がらせようと思っていなくて「ただいるだけ」で、主人公もそれにだんだん慣れていくというのがリアルなのかなと思い、シュミレーションしながら描いていきました。
本作の「カフェ店員役」情報解禁ですが、いかがですか?
監督:今日まで言ってはいけないものだとしっかりわかっておらず、何度も口を滑らせそうになりました(笑)
カフェの場面の撮影中のエピソードを教えてください
監督:元々霊能者の浅野のキャラクターは「甘いものが好きな可愛い人」にしたいなと思っていたので、店員目線から行くとコーヒーは大人が頼むもので一つしか置かない、浅野はパフェだけというというのを描きたかったです。
まいきち:監督が何度も配膳の練習をしていた記憶があります。手が震えちゃってて(笑)
監督:緊張と重さで手が震えてしまって(笑)パフェもなかなか大きかったし、パフェは「これ一個しかないです」と言われて失敗は許されないと思ったらなお緊張してしまい、ガタガタガタとなってしまいました(笑)でも、本当に現場が大変すぎて、なかなかカフェ店員への切り替えができなくて…。やっと映る側に行けたかな、と思いきやカメラの向こう側には色々な大人がいて、緊張してしまい、手の震えが止まらなかったです。
この光景を間近で見ていた中島さん・まいきちさん、どうでしたか?
中島:さっきもおっしゃっていた通り、手が震えていました(笑)
まいきち:震えていた印象がとても大きいです。
中島:和田さんと私たち三人でその光景を見ながら「大丈夫かな…。」と心配していました。
まいきち:監督だけのシーン、何回も撮り直しをしたの覚えていますか?
監督:確かに、結構撮り直しした気がします。2、3回はやった記憶があります。
中島:立ち位置や登場する位置とかで、もう少し面白くしたいと工夫されていた印象でした。
まいきち:自分を一回主張したくなっていました…よね?
監督:あれ、すごいなんか恥ずかしいお話です。ちょっと記憶にございません(笑)
カフェでのシーンで何か感じられたことがあるとか…
まいきち:監督と中島さんは霊感がないので、私がすごく怪しく見えるのですが、和田さんと私が現場で「何かを感じた」ことはあって…。
監督:和田さんとまいきちさんが、霊感?とかではないのですがなにかを感じる時あるよね、というお話をされていて…。
まいきち:何か空気が悪いと感じる時があるタイプだよねというのを和田さんとお話していました。そんな中で、カフェのシーンの時、後ろがキッチンになっているのですが監督が出てくるところから何かを感じて振り向いた時、和田さんも同じタイミングで振り向いていて同じ方向を見ていた、というエピソードがあります。監督ではなく、何か邪悪な存在を感じました。
監督:それを後から聞いて、「いや待ってくれよ。そこ通っているんだけど!」となりましたね(笑)
まいきち:何かを感じるところにガツガツ行くので、怖かったです…。
監督:恐らくそれどころじゃなかったんでしょうね(笑)失敗できないガタガタの方が勝っていました。
中島さん単独初主演はどのようなお気持ちでしたか?

中島:単独初主演ではありましたが、私は皐月ちゃんという存在がとても大きかったです。なので、まいきちちゃんと共に頑張っていこう!という気持ちで現場に入りました。緊張というよりは、一緒に頑張っていこう!!という気持ちでした。
現場ではお互いどのように仲を深めていきましたか?
中島:お互い現場では、役名で呼んでいました。
まいきち:最初から喋りづらいとかもなく、すぐに仲良くなれた記憶があります。
中島:本当に自然と仲良くなっていった、という感じです。
撮影の待ち時間のエピソードはありますか?
中島:お話しすぎて…(笑)
まいきち:お話をしすぎていて気づいたら時間が経っていた、みたいな感じでした。
中島:待ち時間、なかったよね(笑)
まいきち:喋っていたら、あっという間にもう撮影だ!早い!となっていました。
中島さんはどのようにして美咲役に決まりましたか?
監督:主役を決めましょうという話になった時に、色々資料が送られてきて、悩んでいたのですが、中島さんの写真を見た時に、とても主人公感が強いなと感じたのと、私自身がよくMOVIXに行くので、上映前の中島さんが出演している映像を思い出して「あ!この子か!」となり、バッチリハマった感じがして、中島さんに主役をお願いしました。撮影の前にお会いしたのですが、当時、現役の高校生だったこともあり本当に等身大の高校生だなと感じました。役にもより入りやすいのかなと感じ、そこが決め手となりました。
まいきちさんのオーディションでのエピソードはありますか?

まいきち:オーディションの内容は、作品中にある塩を撒いて「悪霊退散!」というシーンでした。
監督:まいきちさんの塩の撒き方が決め手の一つ、というような感じです(笑)
まいきち:オーディションの時、「マイ塩」持参したのですが、会場には塩が用意されていて、どっちを使えばいいだろうとなり、「どっちを使えばいいですか!!」と聞きました。もしかしたら、「マイ塩」が決め手だったり…?
監督:なかなかいなかったです。塩を持ってきた人は(笑)
まいきち:やる気がありすぎて、塩を持参してしまいました(笑)
作品の中でも、塩を撒くシーンは印象的だと思います。でも、オーディションで一回やっていたので、このシーンはすっっと役に入れました。塩だけはどれだけでも撒ける自信があります(笑)
撮影現場でのエピソードを教えてください
監督:中島さんとまいきちさんの体調が心配でした。撮影自体が、2024年の9月初旬から始まったので、とても暑くて。暑さもあり、撮影場所が廃墟だったということもあり、体調が良くなさそうに見えていました。廃墟は電気が通っていないので、冷房はなくひたすらサーキュレーターの風で暑さをしのぐことしかできなかったので、皆だんだん暑さにくらってきてしまってた感じで…。
まいきち:人も多かったので空気もこもっていたというか、だんだん頭がぼーっとするような感じになってしまいました。それで私たち一回病院に行ったよね?
中島:うん行ったね。同じタイミングで。
まいきち:同じタイミングで熱が出ちゃって、2人とも病院に行きました。るなちゃんは、撮影をしながら勉強もしていたんです。
中島:そうなんです。撮影が終わった後すぐに、受験のテストもあったので、勉強もしなきゃ、役も頑張らなきゃ、というような感じで慌ただしかったです。でも、神様がいたので心強かったです(笑)
撮影期間中の特に記憶に残っているエピソードを教えてください
監督:若干怖い話になるんですけど、皐月の家での撮影シーンの時、絶対にありえない位置で女性の声がマイクに入っていたことがありました。「誰かいた?」と確認しても誰もいなかったので、すごい怖かったのですが、音声さんが「消します!」と言ってすぐ消していました(笑)
まいきち:え、皐月知らないです。初めて聞きました。なんで隠していたんですか…。
監督:隠していたつもりはないんですけどね(笑)データにも残っていないから…。昼間の撮影の時に起こったことだったかと思います。でもこの声を生かして作品を作っていたら、よりホラーな作品になっていたのかな、なんて思ったりします。廃墟では何にもなかったですけどね(笑)
まいきち:廃墟は素敵な場所にあったので、もしかすると神様が守っていてくれたのかもしれないです(笑)
監督:あと、廃墟の思い出として一つあるのが、本編だとかなり草が生い茂っていたと思うのですが、ロケハンで行った時は葉っぱが全くなくて、廃墟の全貌が見えていた状態でした。「これはとてもいい廃墟だ!」と思い、決めたものの、いざ撮影本番には、草が生い茂っていたというエピソードもあります(笑)せっかくの廃墟が隠れてしまって、どうしようかと考えましたが、これはこれで良いかもと思い、撮影を始めました。自然のスピードは予測できたはずなのに予測できなかったです。
美咲と皐月のように、一攫千金を狙って動画をあげる若者の心境をどう思いますか?
監督:ちょっとわかりますね(笑)
まいきち:私もわかります。私は10年ぐらいネットで活動をしているのですが、自分の載せた動画が「バズった!」となるこの気持ちは、危ない方向に行く時もあるのだろうなと思います。
DMMショートで配信中の「バニーキッチン」について
物語はどのようにして作られましたか?
監督:これも何回もプロットのやり取りをして、制作をしました。最初は、シンプルで王道なホラーを制作しようと考えていたのですが、紆余曲折があり、ショッピングモールを舞台にしようと決定しましたが、許可が降りるロケ地が見つからず、フードコートに絞ることになりました。こちらは縦型のショートなので、常に釘つけになるような展開にしようと考えたものの、それだけではただの”消費”になりかねないなと思ったので、キャラクターに愛着を持てるようにと思い、濃い目のキャラクターをたくさん出して、そのキャラクターに自由に動いてもらい、最後のもう一捻りとして、縦型ドラマへの反抗心からあのような作品ができました。僕としてはかなりお気に入りです。編集中も何回も笑っていましたしね(笑)基本的に登場人物たちがちょっと抜けているので、そこがポイントです。
まいきち:これはどこまでアホな感じになればいいですか?と何度も質問しました(笑)
そこが皐月と大きく違ったところだなと感じます。皐月は地頭がいいと思うのですが、あやかは地頭も悪いと言いますか…。ですよね監督??
監督:そうですね。本当におバカなポジションでお願いしますとお話ししました。
今後撮ってみたいジャンルや動画制作はありますか?
監督:今回はライトなホラーを目指したので、ホラーが苦手な方にも観ていただけるように、ホラー具合を調整したので、逆に次はまじのホラーの作品か、コメディ全振りな作品もやってみたいなと感じます。あとは、IMAXとか3Dとかで作成してみたいです(笑)
監督から皆様へ
監督:作品をご覧になり面白いと感じていただけたら、ぜひもう一度劇場でお会いしましょう!何度観てもいい作品です!家族と、友達とぜひきてください!!
Tel:03-6712-5946
取材・記事:佐々木萌花
写真:Chanshi / Chanssie